最も困難だった!?渋谷区の住宅宿泊事業届出(特例届)完了☆

渋谷区より、住宅宿泊事業(民泊)の届出7件が無事受理されました。本件は、とても多くの時間とエネルギーがかかりましたので、受理通知の喜びはひとしおです。

なぜ、それほど苦労したのかキョロキョロ?

住宅宿泊事業の届出は、一般的に旅館業許可取得に比べてハードルは緩やかですが、手続き詳細は、クライアントの状況、自治体の条例の有無、解釈によってかなり異なる印象です。

【本件のポイント】

①法人申請で、複数の会社役員がすべて日本に在住しない外国人だった。

②電子署名を付した電子申請を行った。

③建物が所有者から幾人もに転貸されており、所有者との連絡に時間を要した。

④渋谷区が事業系ごみを区の収集に出すことを認めていない(例外なし)。

⑤本来、渋谷区では平日営業が禁止されるエリアでの特例届だった。

⑥管理者常駐場所が、住宅宿泊管理業者の事務所としての登録(本店と異なる)が必要だった。

⑦複数同時申請の場合でもすべての公的書類について原本が要求された。

①法人申請で、複数の会社役員がすべて日本に在住しない外国人だった

法人申請の場合、会社役員それぞれの「成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の後見等登記事項証明書」と 「成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得な い者に該当しない旨の市町村の長の証明書」が必要になりますが、本人日本に在住しない外国人の場合は、これらの公的書類を取ることができません。そこで、実際に居住する国の公証役場(と同様の制度)において、「成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ていない者に該当しない」旨の宣誓を行い、日本に送ってもらいました。もちろん、宣誓書は外国語で作成するので、それぞれの訳を付ける必要があります。宣誓書の有効期間は3カ月!!

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②電子署名を付した電子申請を行った

電子申請の利便性については、以前もブログ「電子申請で届出ラクラク☆港区のOMOTENASHIに感動!」でご紹介しておりますが、受け入れる行政側も扱いに慣れていないようで、かなりの確率で「電子署名の真正性が確認できない」と連絡が来ます・・・タラー「きちんと電子署名されています」という説明にかなり時間と労力を費やすことに・・・・・

 

③建物が所有者から幾人もに転貸されていた

届出住宅が賃貸物件の場合、建物所有者から住宅宿所事業の用に供することの承諾を受ける必要があります。転借物件の場合は、同様にすべての賃貸人の承諾が必要です。申請者側の事情ですが、建物が所有者からいくつもの法人に転貸されていました。所有者、それぞれの賃借人、転借人が大きな企業だったため、承諾稟議決裁に説明と時間がかかりました。

 

④渋谷区が事業系ごみを区の収集に出すことを認めていない
事業系ごみは、自己処理が法律で義務づけられているので、原則として区の収集に出すことができません。しかし、渋谷区では、1回の排出量が135リットルまでの少量の場合は、事業所のごみを有料で出すことができます。

ところが、渋谷区では、住宅宿泊事業によって出るごみは、「「住宅宿泊事業の実施に伴って生じた廃棄物の処理に関する要綱」により、家主居住型の場合を除き、少量であっても区の収集に出すことができない制度となっています。仕方がないので一覧表から、区の産業廃棄物処理業の免許を持つ業者に、端から廃棄物処理の依頼をしましたが、排出量が少ないとの理由で断られ、契約先を探すまでに時間がかかりましたショボーン

 

④本来、渋谷区では平日営業が禁止されるエリアでの特例届だった。

渋谷区では「渋谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」により、住居専用地域等で営業日数の制限を設けています。今回の申請案件は、用途地域は商業地域でしたが、文教地区の特別用途地区指定がされており、月曜日から金曜日までの営業ができません。しかし、渋谷区では、周辺住民等からの苦情等に迅速に対応できる体制が確保できると認められる、一定の要件を満たし、「特例届」を行った事業者については、制限区域においても年間 180 日までの事業実施を認めています。(区条例第 7 条第 4 項)

一定の要件の概略は・・・・・

(1) 届出住宅の敷地から約100メートル以内の区域に自宅または住宅宿泊管理業者の営業所or事務所がある
(2) 町会その他地域団体に加入している
(3) 事業者または管理業者が、周辺住民と町会に対し、書面を用いた対面による事前周知を実施している
(4)深夜早朝を問わず、宿泊者及び苦情者と連絡可能な人員を常時確保している
(5)緊急時に10分以内に現地に赴くことが可能な人員を常時確保している
(6) 苦情内容及びその対応状況について記録・保存する

特段の苦労したが「(3) 事業者または管理業者が、周辺住民と町会に対し、書面を用いた対面による事前周知を実施している」でした。渋谷区の特例届では、「対面」による周知を義務付けており、例外がありません。周知先と状況については記録を付けて報告する必要があります。訪問するも、当然訪問先が不在の場合もありますので、会えるまで何度も訪問しなければなりません。しかし、中にはそもそも人が住んでいるのか、空き家になっているのか判断がつかない場合もあります。

 

また、周知対象範囲には、建物の住民だけではなく「建物所有者」も含まれています。住民と建物所有者が異なる場合は、建物所有者にも対面で周知する必要がありますが、その場合、建物所有者は近隣(渋谷区や東京)にいないケースも多々あります。

建物所有者はどこにいるのでしょうか?

それは、該当する建物の登記簿謄本で所有者として登記されている人物の住所を調べることで知ることができます。区分所有建物では、所有者が大勢いるので登記簿謄本を調べるだけでも時間と費用が掛かります。その結果、所有者が北海道や、海外、というケースもあります。そもそも、不動産登記は義務ではないので、本来の所有者が登記されていない場合や、住所変更が反映されていないこともあります。本件の場合、区分所有建物ではなく、周知先が東京都だった建物(都の所有物)もあります笑い泣き

内容が長くなってしまいましたが、色々と手続きが込み入っていたことは伝わりましたでしょうかタラー

日頃、のほほんなカピバラ好き行政書士も、青ざめる場面もありました。しかし、クライアント先のスタッフの方の協力を得つつ、最終的に申請を受理されるに至りました。感謝と喜びの気持ちでいっぱいですラブラブハート届出受理からが民泊のスタートですが、ぜひ末永く活用していただけると嬉しいですニコニコ

 

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