
先週4月18日は、私が所属する東京都行政書士会中央支部の定時総会でした。
今期より、私は新たに副支部長を拝命することとなりました。
引き続き不動産金融特別委員会委員長としても活動していきます。
身に余る光栄ですが、かかわって下さるすべての人・環境に感謝しつつ、行政書士会・不動産業界双方のお役に立てるよう、今後も精進して参ります
さて、久しぶりの「不特法Q&A」を。
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投資家と結ぶ不動産特定共同事業契約において、最も重要な内容は利益分配のための計算の方法です。
標準約款では、一定期間において、ファンドの対象不動産から得られた「収益」から「費用」を引いて算出する「匿名組合損益」から出資者に利益分配を行うこととされています。
利益がたくさん出ていれば、投資家に多くの(又は予定満額)の利益を分配することができます。
当然、収益は大きく、費用は少ないとよいのですが、計算は正しく行わなければなりません。
そこで、不動産特定共同事業における匿名組合損益の計算について、約款上は必ずしも明確ではない「減価償却費を費用計上すべきか?」という疑問がわいてきます。
これは、会計基準や契約に基づく重要なテーマです。
本日はこの疑問に対するポイントを整理します。
1.約款に基づく損益計算
匿名組合型約款第8条および任意組合型約款第9条では、本事業の損益計算が「法令および本契約に従って算定される」と定められています。法令及び本契約に定めのない事項については、一般的に公正かつ妥当と認められる会計慣行(公正なる会計慣行)に従うことが適切であると解されています。
2.公正なる会計慣行の基盤
公正なる会計慣行は、旧・大蔵省の企業会計審議会によって制定された「企業会計原則」を中核としています。企業会計原則の第3貸借対照表原則(五)では、貸借対照表に記載する資産の価額は原則として取得原価を基に計上し、資産の取得原価は各事業年度に費用として配分しなければならないとされています。特に、有形固定資産に関しては、耐用期間にわたり定額法や定率法で減価償却を行い、その取得原価を各年度に配分することが求められています。
3.減価償却費の計上
これに基づき、投資用不動産を含む有形固定資産は、減価償却費を費用として計上することが公正なる会計慣行において求められます。つまり、不動産特定共同事業においては、特段の定めがない限り、対象不動産の減価償却費を計上しなければならないということになります。したがって、対象不動産が「棚卸資産」(販売用不動産)に該当する場合を除き、減価償却費の計上は必要です。
4.モデル約款の修正
この考え方を反映し、不動産特定共同事業契約においては、対象不動産が販売用不動産に該当しない限り、減価償却費を計上することが明確にすることが望ましいと言えます。
結論
いかがでしょうか?不動産特定共同事業における匿名組合損益の計算において、減価償却費を費用として計上することは、企業会計原則に基づき求められることです。これに従い、特段の定めがない限り、対象不動産の減価償却費は計上する必要があり、そのための対応が約款において明確化することが推奨されます。
当事務所は約款の修正の他、ファンド会計に関するアドバイスも提供しています。
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