8月21日に公布された不動産特定共同事業法施行規則の改正について、最終的な改正内容とパブリックコメントへの回答を読み込んでいくと、改正案の段階では必ずしも明確ではなかった実務上の考え方がいくつか見えてきます。
その中でも、特に重要だと感じるのが次の3点です。
1.利害関係人への売却等は、想像以上に「鑑定評価」が重い
今回の改正では、利害関係人への対象不動産の売却等について、独立した不動産鑑定士による鑑定評価が必要になります。
パブコメではさらに、第三者からの購入意向価格や市場価格など、客観的な価格資料が存在する場合でも、これらを理由に鑑定評価を省略したり、鑑定評価額から大きく乖離した価格を正当化したりすることはできない、という考え方が示されています。
つまり、売却等については、「市場価格として合理的か」だけではなく、鑑定評価を価格形成の基準として組み込むという、かなり形式的な規律になっています。
2.取得・賃貸で「鑑定を取らない」ための条件も想定以上に厳しい
一方、取得や賃貸については、一定の客観的な価格・賃料情報を示すことで、必ずしも鑑定評価が必要とは限りません。
ただ、パブコメを読むと、
• 過去の第三者売買が存在しない
• 過去の売買価格をNDA等の関係で開示できない
• 比較できる価格・賃料情報が十分にない
といった場合には、鑑定評価が必要になることが明確になっています。
特にスポンサー物件の取得では、
「仕入価格を開示するのか、それとも鑑定を取得するのか」
という問題が、実際のファンド組成判断に直結する場面も出てきそうです。
3.後継ファンドへの再組成も「売却等」に含まれる
もう一つ重要なのが再組成です。
匿名組合型ファンドで、現行ファンドの対象不動産を後継ファンドに係る財産とする場合についても、今回の「対象不動産の売却等」に含まれることが明確になりました。
したがって、スポンサーへの売却だけでなく、後継ファンドへの再組成についても、鑑定評価や利益相反管理を前提にEXITを考える必要があります。
これは、再組成を通常の出口としている事業者にはかなり大きな論点だと思います。
今回の改正は、単に契約成立前書面や財産管理報告書の記載項目が増えた、という話ではありません。
鑑定評価の取得時期やコスト、スポンサー物件の仕入れ方、賃貸条件、EXIT、再組成など、これまでのファンドモデルそのものに影響する可能性があります。
そのため、詳細な書面修正に着手する前に、
「今回の改正によって、自社のファンドビジネスに何が起きるのか」
を一度整理しておくことが重要です。
9月14日の特別研修では、今回ご紹介した論点を、取得・賃貸・売却・再組成などの具体的なケースを使って整理します。
9月14日(月)11:00~12:00
不特法8月改正|ビジネスへの影響
詳細:https://kurumigyosei.com/202608kaisei
たとえば、「鑑定評価10億円、実際の市場価格13億円の場合、利害関係人へいくらで売却できるのか」といったケースから、今回の改正が実際のファンドビジネスにどう影響するのかを考えます。
9月25日の第2回では、その判断を業務方法書、契約成立前書面、財産管理報告書、HP表示、社内審査などへどう実装するかを扱います。
「不特法コンプライアンス研修2026」をすでにお申込みの皆様は、今回の特別編2回とも追加料金なしでご参加いただけます。
改正規則への対応に向け、9月中にビジネス展開の方向を見定めましょう🤗
