「みんなで大家さん」大阪府と東京都が許可を取消
さて、9月1日、「みんなで大家さん」をめぐり、営業者である都市綜研インベストファンドについて大阪府が、販売代理人であるみんなで大家さん販売について東京都が、それぞれ不動産特定共同事業の許可を取り消しました。
大阪府の処分では、約2,881億円の債務超過により不特法上の純資産基準を満たしていないことに加え、契約成立前交付書面の記載や償還遅延なども問題とされています。
許可要件を欠く状態となれば、許可後であっても取消しの対象となります。
では、投資家のお金は戻ってくるのでしょうか。
ここは、許可取消しとは別問題です。
大阪府の公表資料の別表4を見ると、ファンド社の預金、不動産、賃料債権などには、税金滞納や訴訟等による差押え、強制競売開始決定などが多数記載されています。
そのため、不動産などの資産が存在していても、売却代金がそのまま投資家への償還原資になるとは限りません。
また、ファンド社と共生バンクグループ各社との間で、これまでどのような資金移動や取引が行われ、現在どこにどのような資産・債権が残っているのかも重要です。
現時点で投資家がどの程度資金を回収できるかを見通すのは難しく、まずは資金の流れとグループ全体の資産状況の全容が明らかになることが期待されます。
業務結了まで不動産特定共同事業者とみなされる
一方、許可が取り消されたからといって、既存のファンドが直ちに終了するわけではありません。
不特法65条では、既に締結した不動産特定共同事業契約に基づく業務が残っている場合、その業務を結了する目的の範囲内で、引き続き不動産特定共同事業者とみなすこととされています。
大阪府も、投資家間の公平に配慮しながら、運用財産の管理や既存業務の適切な結了などを行うよう指示しています。
つまり、「許可を取り消した」ことと「投資家にいくら返せるか」は別問題。
これからは、残された資産や債権をどこまで把握・回収し、既存契約を適切に結了していけるのかが焦点になります。
そして、この問題と軌を一にするように、8月21日には不特法施行規則や監督留意事項も改正されました。
みんなで大家さん問題を受けて法改正へ
国土交通省は、一般投資家の参加拡大を踏まえた制度見直しと説明していますが、改正内容を見ると、グループ会社などの利害関係人との取引価格の妥当性、開発案件の資金計画やスケジュール、運用開始後の工事進捗、出資金の使途など、「みんなで大家さん」をめぐって浮き彫りになった論点とも重なります。
特に、利害関係人との不動産取引については、鑑定評価額などの客観的な資料を踏まえて価格の妥当性を説明することが求められます。また、開発型の商品についても、募集時だけでなく、その後の工事の進捗などを投資家に報告することが求められるようになりました。
今回の事案と制度改正を重ねて見ると、不特法が特に警戒しているのは、投資家から実態が見えにくい利害関係人取引や、長期・大規模な開発案件における情報の非対称性だといえそうです。
不特法事業者にとっても、今回のニュースは一事業者だけの問題ではありません。
8月改正を踏まえ、自社の利害関係人取引、開発案件、契約書面や財産管理報告書の内容を、改めて確認しておきたいところです。
法改正によるファンドビジネスの影響は?
くるみ事務所では、改正のビジネスへの影響について、次のセミナーで解説します。
9月14日(月)11:00~12:00
不特法8月改正|ビジネスへの影響
詳細:https://kurumigyosei.com/202608kaisei
行政処分や規則改正と言った規制変化への対応に向け、
9月中にビジネスの方向性を再整理しましょう🤗🤗

