クラウドファンディング・システムKick-off会議 & 第二種金商業の組織体制・人的構成②

先週は久しぶりの出張で名古屋に出かけてきました新幹線

 

東京駅と名古屋駅ともに空いていて、新幹線も予約なしで座ることができ、利用者としては快適です。ぴよリンは健在でたくさん店頭に並べられていました!

 

 

週の後半は、不動産特定共同事業(FTK)に用いるクラウドファンディング・システム開発のためのキックオフ会議に出席ヒヨコ

FTKの電子取引業務(クラウドファンディング)のご依頼増加を受け、日々エンジニアの方々との打合せを行っています。

 

これからシステム開発に着手する事業者の方々に強く推奨したいのは、システムの計画・設計段階で、ファンド実務(オペレーション)にまで精通した法律専門家をしっかり関与させること。

 

コンプライアンス適合のための要件定義であれば条文さえ読めれば対応できますが、ファンド組成に伴う後続のオペレーション(取引時確認、反社チェック、マイナンバー管理、各種法定帳簿の作成)に関する経験のない法律家だと、本来システムによる自動処理や自動チェックを検討すべき項目を指摘できず、いざ実務を回した際に、想像を超える数の手作業の負荷が発生してしまうリスクがあるためですキョロキョロ

 

システム開発を行う上では、『法令遵守』だけでなく、『業務効率化』も同時に図ることが極めて重要です。

 

システム計画・設計段階のミスは、開発着手後のリカバリーが困難なうえ、ご自身のチームのオペレーション負担増加に直結しますので、計画・設計段階こそ全力で取り組むようにしましょう!!

 

そんなシステム関係のキックオフ会議も終わり、カピバラ好き行政書士は街を少し散歩ヘビヘビ平日で天気も雨だったせいもあり、まだまだ人手は少なかったです下矢印

 

 

第二種金商業の組織体制・人的構成とは(続き)

さて、前回のブログ「第二種金商業ライセンス(信託受益権の取扱い)に求められる組織体制・人的構成とは?」の続きとして、第二種金融商品取引業登録の申請でいちばんハードルとなる「人的要件」について解説します。

 

 不動産業と第二種金融商品取引業の関係

不動産の売買や交換、賃貸借の代理や媒介業としてを行うためには宅地建物取引業の許可が必要です。

そして、不動産を信託財産とした信託受益権の取扱及び売買の媒介を行おうとする場合、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。

 

信託受益権とは、現物不動産の保有者(委託者)が、信託銀行等(受託者)に信託して、管理及び処分を信託銀行等に委ねることにより、受託者から委託者に対して発行される権利を指します。

信託受益権の保有者(受益者)に対しては、受託者から信託財産(不動産)から得られる経済的利益(収益)が分配されます。

 

 

私募の取扱いイメージ(出所:日本橋くるみ行政書士事務所)

 

現物の不動産も、信託受益権化された不動産も、目的は同じ「不動産物件の媒介」ですニコニコ

しかし、媒介対象が信託受益権化された不動産になると、信託受益権は有価証券と見なされるため、第二種金融商品取引業の登録が必要となり、ハードルが上がります上矢印上矢印上矢印

 

宅地建物取引業は、国土交通省が管轄しますが、第二種金融商品取り引業は、金融庁が管轄しています。

元の「不動産」は同じようでも、信託受益権化されることで、必要となるライセンスがまったく異なります。

 

■第二種金融商品取引業登録申請の要件

では、第二種金融商品取引業者として登録するためには、どのような要件が求められるのでしょうか?

まず、第二種金融商品取引業の登録拒否事由等は次の通りです(抜粋)。

 

(1)資本金の額が1000 万円未満の法人

(2)申請者、役員、重要な使用人が、欠格事由(破産者等)に該当する者

(3)金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者

(4)金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(5)金融商品取引業協会に加入しない者であって、協会規則等に準ずる内容の社内規則の作成等をしていない者

 

資本金や欠格自由は可否の判断が明確ですが、「(2)金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制や(3)人的構成」は、抽象的で文字を読むだけではよくわかりませんねキョロキョロ??

 

登録には特定の国家資格などは必要ありませんが、当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保が必要です。建設業許可における「一級建築士」や不動不動産特定共同事業における「業務管理者」のように、資格などが決まっている方が分かりやすいとの声が聞こえてきそうですが、この「人的構成、業務執行体制」について詳しく見ていきましょう。

 

■ 第二種金融商品等利引き業者に求められる人的構成・業務執行体制

 

第二種金融商品取り引き業を規制する法律「金融商品取引法(以下「金商法」)では、金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められないこと、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であることを登録拒否事由としており、「金融商品取引業者等に関する内閣府令」及び「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」にて具体的な審査項目や手法等が定められています。

 

したがって、これらの府令や監督指針を確認する必要がありますが、これが非常に膨大な分量があり、読むのに一苦労です本

でも、別の見方をすると、それだけ具体的な内容が手引きとして存在するのは、申請する側としてはわかりやすいと言うことですねニコニコ

 

そして、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であるか否かの審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリング(=「概要書」と呼ばれる書面に内容を記載する方法)により確認するものとされています(監督指針 V-3-1 )。

 

この「概要書」は、前回のブログで言及した「第二種金融商品取引業の登録の流れ」の第1ステップとして提出する事前相談資料です。

この概要書に、行おうとしている具体的な事業スキームや営業方法、組織体制を記載します。

 

ここで、ある程度、金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていることが説明できない場合は②事前相談に行くことなく、門前払いになるのでしっかり作成しましょうグー

 

次回は、この概要書を作成するにあたって留意すべき人的構成・業務執行体制整備の考え方を中心に解説しますお願い

コメントは受け付けていません。