2026年4月よりルール厳格化!墨田区に旅館業・住宅宿泊事業条例の改正ポイント(前半)

9月となり夜の訪れが早くなり、秋の深まりを感じますね。
爽やかな夜風と虫の音が心地よいです。

 

さて、本メルマガでは、東京23区の中でも「民泊」が盛んな墨田区の規制強化の動向を、2回に渡り解説します!

 

住宅宿泊事業法(民泊法)の施行と墨田区の対応

 

平成30年6月15日より施行された住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号、いわゆる「民泊法」)は、住宅宿泊事業者・管理業者・仲介業者が業務の適正な運営を確保しながら、国内外からの観光客の宿泊需要に対応することを目的としています。

 

浅草寺など都内観光における利便性が高く、近隣の台東区・江東区・千代田区・中央区などと比較して、比較的に規制が緩やかだった墨田区。

 

墨田区ではこれまで、法に沿った住宅宿泊事業の運営が行われるよう、独自にガイドラインを作成し、適切な指導を行ってきました。

 

墨田区の住宅宿泊施設の現状

コロナ禍の明け以降、円安やインバウンド需要の高まり、交通アクセスの良さ、豊富な観光資源などが重なり、区内の住宅宿泊施設は急増しています。

令和7年4月1日現在で届出施設数は1,631件に達しており、地域住民からは以下のような苦情も寄せられています。

 

  • 宿泊施設の管理体制が不十分
  • 騒音やゴミ、喫煙による迷惑
  • トラブル発生時の迅速な対応が困難

こうした背景から、住宅宿泊事業と住民生活の両立が課題となっています。

墨田区条例の目的と概要

そこで墨田区は、住宅宿泊事業の適正運営を確保し、住民生活環境の悪化を防ぐために、「墨田区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例」を新たに制定します。主な内容は以下の通りです。

 

  1. 目的
    住宅宿泊事業の適正な運営を確保し、生活環境の悪化を防止する。

 

  1. 実施制限
    区内全域で住宅宿泊事業を行う期間を制限(月曜日正午~金曜日正午)
    ※届出者または管理業者が常駐し周辺環境を把握できる場合は制限対象外

 

  1. 責務の明確化
    区・住民・事業者・宿泊者それぞれの立場で責務を規定

 

  1. 事前説明の義務化
    周辺住民への説明会開催等の義務を設定

 

  1. 標識掲示の義務
    法令上の標識に加え、区交付の標識も公衆が認識しやすい位置に掲示

 

  1. 事業者情報の公表
    届出住宅や事業者の連絡先を公表

 

  1. 違反者の公表
    業務改善命令や業務停止命令に違反した事業者の氏名等を公表

 

また、旅館業法施行条例についても一部改正され、住宅宿泊事業と同等の説明義務や従業員常駐義務が追加される予定です。

 

特に影響が大きいのは2の実施制限。

今後、新たに届出する民泊については、平日の営業が禁止される可能性があります。

この状況を短歌に託してみました。

 

 

短歌 《秋の隅田川》🍂

民泊に すさぶ秋風 隅田川
平日(ひらび)空しく いかに稼がむ

 

解説:民泊に秋風のような規制の逆風が吹き荒れる。隅田川の風景もむなしく、
平日は部屋を稼働させられない。一体どうやって稼いでいけばいいのか。

 

※ただし、経過措置として、条例施行前に届出を行った施設については、

住宅宿泊事業の日数制限と旅館業法における管理者常駐義務については、

新条例の適用は除外される見込みです。

今後のスケジュール(予定)

  • 令和7年9月22日:区議会区民福祉委員会で中間報告
  • 令和7年9月〜10月:パブリックコメント募集
  • 令和7年10月:パブリックコメント結果公表
  • 令和7年11月:区議会に条例案提出
  • 令和8年4月1日:条例施行

 

次回は、住宅宿泊事業法・旅館業法の改正条例の詳細を解説します。

 

今後、墨田区で宿泊事業の計画がある場合は、

改正条例施行前に手続することを検討しましょう🤗

コメントは受け付けていません。