
10月も後半となり、朝晩の冷え込みがぐっと厳しくなってきましたね。
温かい飲み物が恋しくなる季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
「みんなで大家さん」最新動向
不特事業の信頼性を揺るがす事案として注目を集めている「みんなで大家さん」。
10月中旬、東京都と大阪府が新たな行政指導を実施し、
さらに集団訴訟は1,000人超・請求総額100億円規模へと拡大しました。
いまや本件は、特定の事業者の問題にとどまらず、
不特事業全体のガバナンス強化を迫る転換点となっています。
🌅 短歌≪超新星爆発≫
赤色の 巨星墜ち逝く 成田の地
みんなで大家 爆発の刻
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🔍 最新の状況(2025年10月)
• 行政指導の再発出(10月14日)
東京都と大阪府は、同社が提示した新スキーム「第三者譲渡契約」について、
投資家への説明が不十分として「具体的で分かりやすい説明」を改めて指導。
大阪府はさらに、「利回り7%の根拠」「資金の流れ」など8項目の開示を求めました。
• 問題のスキーム構造
投資家が保有する出資持分(1口100万円)を、運営側の100%子会社に譲渡。
その子会社が「保険付き債券」を発行し、保険会社が保証する──というもの。
しかし、実質的にグループ内で資金を回す構造ではないかと強く批判されています。
• 訴訟は全国規模へ拡大
第1次訴訟には高齢投資家を中心に1,000人以上が参加し、請求総額は100億円超。
今月末から来月初旬にかけて大阪地裁への提訴が予定されています。
被害相談は全国から寄せられ、行政・弁護団ともに対応が本格化しています。
• 現場の実態
主力プロジェクト「ゲートウェイ成田」は工事が進まず、現地はほぼ更地。
成田国際空港株式会社は「造成資金に投資金は充てられないと聞いている」と述べ、
事業実態と募集説明の乖離が浮き彫りになっています。
不特事業者が「今」押さえるべき3点
① 開発型ファンドの「実現性」と説明責任
開発事業を対象とするファンドでは、工事進捗・資金使途・リスク説明を明確にし、
「将来の事業収益」に依存するリスクを適切に開示し、開発型にカスタマイズした約款を用いる必要があります。
行政は、約款認可を受けていない開発型ファンドがないかを厳しくチェックしています。
② 利害関係人取引の「透明性」
親会社・子会社・役員・株主等を通じた資金のやり取りや契約関係について、
利益相反管理と情報開示が最大の焦点になっています。
・取引条件の妥当性(市場価格との比較)
・役員・親会社による意思決定への影響
・ファンド資金の社内循環の有無
これらを第三者が説明可能な形で管理・開示しておくことが求められています。
とくに対象不動産の売買価格・賃料の妥当性は、当局から厳しく見られる傾向にあります。
③ 行政対応とガバナンス体制の整備
行政指導は“任意”といえども、公表を伴う社会的影響は実質的に重大です。
「遺憾」を表明するよりも先に、
・危機対応チームの設置
・専門家による第三者レビュー
・内部統制・情報開示プロセスの文書化
といった予防的ガバナンスを整備することが、信頼回復の第一歩です。
結びに
今回の行政指導は、単に「みんなで大家さん」だけでなく、
不特業界全体に対し、”開発型ファンドに対する規制強化”、
“利害関係人取引の透明化”と“説明の実質化”を求めるメッセージです。
「うちは問題ない」と言い切る前に、
開発型ファンドの組成手続や利害関係人取引の妥当性を改めて点検し、
取引・報告・説明の各段階で“第三者から見て透明か”を確認することが重要です。
開発型ファンドを巡るコンプライアンスの諸論点は10/30(木)の
不特法コンプライアンス研修にて詳しく解説します。
この事案を他山の石としてコンプライアンスを強化し、
業界の信頼回復を目指していきましょう🤗