【不特法×災害時レスキューホテル】移設できるコンテナ客室は「不動産」と言えるか!?

8月となり夏休みシーズンとなりました。
最近ではキャンプ場などに並ぶお洒落度が増した「コンテナホテル」が増えており、旅行の宿泊先として利用される方もいらっしゃるかもしれません。

先日、熊本で発生した地震の被災状況も心配ですね…。
本日は、「不特法で拓く、新しい不動産ビジネス」と題して、災害時に役立つ「レスキューホテル」を取り上げます。

1分半の解説動画はこちら↓
https://youtu.be/_PxFxlBPsIs

昨日までホテルとして使われていた客室が、災害時には被災地へ運ばれ、宿泊施設や医療従事者の休憩所として活用される。
そんなホテルが、すでに全国で営業しています。

平時はホテル、有災害などの事は社会インフラ

「HOTEL R9 The Yard」は、コンテナモジュールを客室として使用するロードサイド型ホテル。
URL:https://hotel-r9.jp/brands/theyard/
工業団地、物流拠点、高速道路のインターチェンジ周辺など、都市型の大型ホテルでは対応しにくい、地方の小規模な宿泊需要を取り込んでいます。
客室は一室ずつ独立し、共用部分や有人対応を抑えた効率的な運営が特徴です。
さらに、災害時には客室を被災地へ移設し、応急的な宿泊施設等として活用します。
運営会社のデベロップは、この仕組みを「レスキューホテル」と呼んでいます。
平時には収益を生むホテルとして使い、有事には社会インフラとして利用する。「フェーズフリー」の考え方を取り入れた不動産ビジネスです。

すでに不動産ファンドの先行事例も

不動産クラウドファンディングサービス「みらファン」では、「HOTEL R9 The Yard」を対象とするファンドが複数組成されています。
先行案件では、ファンドが土地と建物を所有し、ホテル運営会社へ賃貸する形が採られています。
コンテナホテルであっても、土地に設置された建物として所有・賃貸できれば、一般のホテルと同様に、不特法ファンドの対象となり得ます。
もっとも、コンテナであれば、すべて不動産になるわけではありません。

車両型(動産)or 建築型(不動産)で、異なる扱いに。

コンテナ客室には、大きく二つのタイプがあります。
一つは、タイヤが付いており、トレーラーとして随時移動できる車両型です。
もう一つは、基礎に固定し、移設時にはボルトを外してクレーンで運ぶ建築型です。
随時かつ任意に移動できる車両型は、建築物や登記可能な建物に該当しない可能性があります。その場合、コンテナ客室自体を不特法上の対象不動産とすることは困難です。
一方、建築型として土地に設置され、電気、給排水、空調などを接続し、継続的にホテルとして使用されるものは、建築基準法上の建築物として扱われます。
「将来移動できるから建物ではない」というわけではありません。
不特法ファンドとして検討する際には、まず、客室が車両型か建築型か、建物として登記されているかを確認する必要があります。



移動できることは、強みにもリスクにもなる

コンテナホテルは、宿泊需要が変化した場合に、客室を別の土地へ移して再利用できる可能性があります。
これは、通常のホテルにはない投資上の柔軟性です。
一方で、ファンドが所有する客室が災害対応のために土地から取り外されるという、通常の不動産にはない問題も生じます。
そのため、運営会社との契約では、
・誰が移設・撤去を決定するのか
・所有者の承諾が必要か
・移設中も賃料が支払われるのか
・自治体からの利用料は誰が受け取るのか
・輸送、設置、再設置費用は誰が負担するのか
・破損や事故をどの保険で補償するのか
といった事項を定めておく必要があります。
社会的に意義のある出動であっても、賃料収入や資産価値を損なえば、投資家との関係では問題になります。

ホテルオペレーターと長期契約があっても安心とは限らない

先行ファンドでは、ホテル運営会社との長期マスターリース契約が採用されています。
しかし、長期契約があることと、長期間確実に賃料が支払われることは同じではありません。
周辺の工場や建設プロジェクトが終了すれば、宿泊需要が減る可能性があります。コンテナ客室にも、腐食、防水、断熱、空調、給排水などの修繕が必要です。
運営会社の実績、賃料負担力、施設の維持費、代替オペレーターの有無まで確認しなければなりません。

ファンドが何を所有しているか

コンテナホテルを事業の価値は、土地の所有権又は利用権、基礎、客室モジュール、共用棟、コンテナ内の家具・家電、インフラ設備、ホテルブランドなどから構成されます。
すべてが不動産であるとは限りません。
特に、
・土地と建物をファンドが所有するのか
・土地は借地なのか、所有するものか
・客室モジュールは誰の所有か
・移設後もファンドの対象不動産が残るのか
を明確にする必要があります。
借地上の建物だけを所有するファンドでは、客室をすべて取り外した結果、対象不動産が存在しなくなる可能性もあります。

「動く不動産」をどう設計するか

移設できるコンテナ客室は、不動産なのでしょうか?
答えは、単純なイエスでもノーでもありません。
車両として随時移動できる状態であれば、動産としての性質が強くなります。
一方、土地に設置され、基礎や設備と接続され、ホテルとして継続的に使用されている間は、建物として不特法ファンドの対象になり得ます。
レスキューホテルを不特法のファンドにするために必要なのは、「移動できるから便利」という説明では足りません。
移動する前、移動している間、移動した後について、資産、許認可、収益、費用、責任の所在を設計することです。
不動産は動かないもの。
その常識を問い直すレスキューホテルは、新しい不動産ビジネスの可能性と、不特法上の制度設計の難しさを同時に示す非常に興味深い事例といえるでしょう。
新しい不動産ビジネスの構想をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください!🤗

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