不動産ファンドの送金手数料は誰が負担する?~実務上の考え方と約款整備のポイント~

不動産クラウドファンディングや任意組合型ファンド、匿名組合型ファンドなどの運営において、意外と見落とされやすい論点があります。

それは、「配当金(利益分配金)の受取や元本償還時に発生する金融機関などへの送金手数料を誰が負担するのか?」という問題です。

金額としては小さく見えても、投資家対応・会計処理・約款整備の観点では重要な論点です。

結論:法律で一律には決まっておらず、送金手数料について、法律上「必ず事業者負担」「必ず投資家負担」と一律に定められていません。

したがって、個別契約(約款)などで定めることになります。

一般には、

  • ファンドの費用とする
  • 投資家負担とする

の2択で語られがちですが、
実務ではそれ以外に、非常に重要な第三のパターンがあります。

実務上の主な3つの整理方法

① 事業者の固有費用として負担(クラファンで特に多い)

現場ではこの方式が比較的多い印象です。

つまり、

・ファンド費用にも入れない
・投資家にも負担させない
・事業者が販売管理費や支払手数料として自社負担する

という整理です。

この方式のメリット

① 投資家に満額着金しやすくUXが良い
② ファンド利回りを維持しやすい
③ 会計処理が比較的シンプル

② 各投資家負担(分配金等から差し引く)

分配金や償還金から送金手数料を差し引いて着金させる方式です。

例:
分配金10,000円 − 手数料600円 = 着金9,400円

特徴

・事業者コストを抑えやすい
・少額投資商品では不満につながることもある

③ ファンド費用として負担

送金手数料を本事業の費用とし、収益から控除したうえで分配する方式です。

ただし、ファンドの損益が最後まで確定しない等の運用上の難しさで採用されるケースは稀です。

特徴

・受益者全体で公平負担という考え方
・約款への明記が重要
・振込先ごとに手数料差がある&ファンドの損益が償還時まで確定しない

少額クラファンほど重要な論点

例えば最低投資額1万円の商品で、分配金が数百円〜千円程度の場合、
そこから送金手数料を差し引けば投資家満足度に大きく影響します。

そのため、小口投資商品ほどこの設計は重要です。

 

 

約款修正と費用項目整理が重要

「事業者が固有勘定で負担にしているから問題ない」と考えがちですが、

約款や事業計画上で整理されていないケースが散見されます。

例えば確認したい点

・分配金送金手数料は誰の負担か明記されているか?

・ファンドが負担する場合、費用として支出できる建付けになっているか?

・事業者の固有負担なのか、組合負担なのか整理されているか?

・会社の事業計画及びファンドの収支計画に適切に反映されているか?

ファンドの負担とする場合、又は、投資家の負担とする場合は約款を修正し、負担者を明確にすることがおすすめです。

これにより、

・会計処理の整合性

・投資家への説明可能性

・監査・行政対応

・将来ファンド横展開時の統一運用

につながります。

商品品質に直結する論点

送金手数料は投資家体験、約款整備、会計処理、運営効率に直結します。

こうした細部まで配慮が行き届いている事業者は、継続的に投資家から選ばれやすいといえるでしょう。

まとめ

配当金の送金手数料は、ファンド設計上の課題です。

負担者を明確にした上で約款・事業計画(会社)・収支計画(ファンド)において整理し、整合を取ることが重要です。

不動産ファンドの約款整備、費用設計、投資家説明資料の見直しをご検討の事業者様は、お気軽にご相談ください🤗

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