
こんにちは、不特法アドバイザーの石井くるみです。
さて、本日は日経不動産マーケット情報2025年5月号掲載『みんなで大家さん成田借地問題、迷走と先送りの顛末』に基づき、本件の最新動向を解説します。
【出典】
https://nfm.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/00008/00001/
成田PJ、期限直前の“8か月延長”で綱渡りの継続
総額2000億円以上を集めた不動産特定共同事業スキーム「みんなで大家さん」。
その中核案件「GATEWAY NARITA」プロジェクト(成田PJ)の借地契約が、2025年3月末に満了しましたが、成田国際空港株式会社(NAA)はわずか8か月の契約延長を選択。
事業そのものの将来性については、引き続き不透明な状況です。
不特法スキームに対する審査と責任の所在
NAAは、共生バンクの過去の行政処分(業務停止命令)を「グループ会社の処分」として問題視せず、資金調達スキームが不特法に基づくものであることも把握していなかったと国会で証言。これは、不特法事業者にとっても、事業スキームや調達手法に対する正確な理解と説明責任が、どれほど重要かを再認識させる事例といえるでしょう。
“造成だけ”では済まされない実質的な関与
造成用地の約4割を占める土地の提供元であるNAAは、2017年の段階で地区計画への同意を表明しており、形式的には「地元の要請」としていた貸与判断も、実質的には構想初期からの深い関与が疑われています。
国会では、NAA・共生バンク・地元自治体の三者が度重なる協議を行っていたことも指摘されており、「地主」や「協力者」ではなく、プロジェクトの共同実行者的なポジションにあった可能性も示唆されました。
不特法制度への波及と実務上の影響
本件を受け、国土交通省や業界団体を巻き込んだ監督体制の見直しとガイドラインの整備が進んでいます。
✓国交省・都道府県による検査・ヒアリングの強化
✓開発型の約款変更の認可の審査厳格化
✓業界団体による自主規制ルールの強化
まとめ
「みんなで大家さん」問題を契機として、不特法業界では今、行政による監督強化とともに、業界団体による自主規制の再構築が進められています。とくに、広告実務や投資家説明のあり方に直結する大きな変化です。
今後のメルマガでも、
✓最新の監督行政の動き
✓自主規制の詳細と実務対応
✓表現規制に強い販促・法務面の対処法
などを、実務家の目線でわかりやすくお伝えしてまいります。
本ブログが、読者の皆様の実務のご参考になれば幸いです。
業界の信頼回復のため、共に取り組んで参りましょう