パブコメ募集中!不動産特定共同事業の「監督留意事項改正(案)」を徹底解説

先週2026年5月27日に国土交通省不動産・建設経済局から、「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」の一部改正案が公表されました。

今回の改正は、近年急速に拡大するインターネットを通じた不動産クラウドファンディングへの一般投資家参加を踏まえたもので、投資家保護の観点から情報開示の充実や公正性の確保を図る内容が盛り込まれています。

この記事では、改正案のポイントを項目ごとにわかりやすく解説します!!

 

背景:なぜ今、改正が必要なのか?

不動産特定共同事業の市場規模は年々拡大しており、特にインターネット上の契約を通じたクラウドファンディングによる一般投資家の参加が著しく増えています。

こうした変化を受け、国土交通省は「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」を開催。令和7年8月に取りまとめられた中間整理では、「一般投資家向けの情報開示の充実」「対象不動産の売却価格等における公正性の確保」が盛り込まれました。

今回の監督留意事項の改正は、この中間整理を受けた施行規則改正に対応するものです!

 

改正のポイント①:適合性の原則等の明確化(第7-5)

最大の改正点は、利害関係人取引における鑑定評価ルールの整備です。

不動産特定共同事業者が利害関係人との間で対象不動産の売却等を行う場合、「鑑定評価額に相当する額での売却等をするために必要な措置」をとることが求められています。今回の改正では、この規定の解釈を次のように明確にしました。

① 「利害関係人」の範囲を明示

「利害関係人」には以下の者が含まれます。

• 当該不動産特定共同事業者本体

• 金融商品取引法上の親法人等・子法人等

• 関連会社等

• 主要株主

• 役員・使用人

• これらの者が議決権の過半数を保有する法人

• これらの者とアセットマネジメント関連業務委託契約を締結している法人(他の特例事業者を含む)

 

② 「利害関係人等でない不動産鑑定士」に含まれない者を明示

次の者による鑑定評価は、公正性の観点から「利害関係人等でない不動産鑑定士」による鑑定とは認められません。

• 利害関係人に該当する者

• 特例事業者の役員または使用人

• 法律上、不動産鑑定評価業務ができない者

 

③ 「必要な措置」に該当しない行為を例示

鑑定評価額を概ね1割以上上回る価格での売却等、または概ね1割以上下回る価格での売却等は、「必要な措置」を履行したとは言えないと明示されました。

ポイント: これにより、利害関係人との取引において、鑑定評価額から大幅に乖離した価格での売買が実質的に制限されます。一般投資家の利益が不当に損なわれないようにするための重要な規定です。

 

 

改正のポイント②:契約成立前書面の記載充実(第7-7)

不動産特定共同事業契約の成立前に投資家へ交付する書面(いわゆる「契約前書面」)について、記載すべき内容が大幅に明確化・充実されました。

 

② -1 工事に関する処分の概要(規則第43条第1項第16号の2)

工事を伴う案件では、以下の内容を書面に記載することが求められます。

• 都市計画法上の開発許可を取得している場合  右矢印 開発登録簿に記載の事項

• 建築基準法上の建築確認を受けている場合  右矢印 建築確認済証に記載の事項

「何となく許可を取得済み」という曖昧な記載では不十分であることが明確になりました。

 

② -2 出資金の使途の詳細記載(規則第43条第1項第20号ホ)

「出資される金銭の使途」は、具体的な使途ごとに金額と内訳を記載することが必要です。

例えば:

①     不動産の取得代金 …物件ごとの金額と内訳

②    工事費用 …工事内容ごとに区別した金額

③    租税公課…税目ごとの内訳

④    アップフロントフィー… 個別の金額

⑤    積立金 …目的別の内訳

複数の不動産をまとめて「不動産の取得代金」とするだけでは不十分。

内訳まで記載することが求められますドクロ

 

② -3 利害関係人取引における価格の妥当性(規則第43条第2項第2号・第3号)

利害関係人との取引価格の妥当性を示す根拠として、以下を「示せない場合」は、鑑定評価を受けてその結果を記載することが必要だと明示されました。

• 近傍同種の取引価格

• 直近の非利害関係人との取引価格(「直近の非利害関係人売買」)

「遡れない」「相手方が開示しない」「承諾しない」「対象不動産が特殊で類似事例がない」といったどのような理由があっても、それらの代替として鑑定評価が必要という厳格な立場が示されています。

 

② -4 宅建業者による価格意見の根拠(規則第43条第2項第5号ハ)

宅地建物取引業者が述べた価格意見の「根拠」として求められるのは、価格査定マニュアル(公益財団法人不動産流通推進センター作成のものまたはこれに準じるもの)等、合理的な説明のつくものであることが明示されました。また、不動産鑑定評価書ではないことを明記することも必要です。

 

② -5 不動産取引が行われる蓋然性の記載(規則第43条第2項第6号)

収益・利益の算定根拠として、「不動産取引が行われる見込みの根拠」を記載する際は、以下を区別して記載することが求められます。

①    契約締結済み ── 売買や賃貸借契約がすでに成立している

②    意向表明書あり ── 法的拘束力のない意向表明書が作成されているにとどまる

③    相手方探索中 ── まだ取引相手を探している段階

④    探索前 ── 取引相手の探索すら始まっていない状態

重要: 契約が締結されているからといって、売買代金や賃料の支払が確実に行われるとは限りません。

そのような誤解を招く記載は禁止されることも明示されています。

 

改正のポイント③:財産管理報告書の記載充実(第7-10)

今回の改正で新設された項目です。契約中の投資家に定期的に交付される「財産管理報告書」についても、記載内容の充実が求められます。

主な留意点

・出資された金銭の額及び使途…使途ごとの金額記載が必要。未支出分(積立分)は支出済みと区別して記載

・既に着手した工事…報告対象期間より前に着工した工事も含む

・今後着手する予定の工事…報告対象期間より前に着工した工事は含まない

・開発許可等の処分の概要…変更の許可等も含め、報告対象期間前のものも含む

・処分が取り消された場合…報告対象期間前に取り消しがあった場合も含む

 

その他の改正

条ずれや法令番号の表記の統一など形式的な整備がなされています。

 

まとめ:今回の改正が意味すること

今回の監督留意事項の改正は、一般投資家が不動産クラウドファンディングに参加しやすくなった時代の変化に対応するものです。主なねらいを整理すると:

• 利害関係人取引の公正性確保  右矢印 鑑定評価ルールの厳格化

• 情報開示の充実  右矢印 使途や工事内容、取引の蓋然性を具体的に記載

• 投資家の誤認防止  右矢印 「契約済み≠確実な収益」の明確化

• 財産管理報告の充実  右矢印 運用中の透明性向上

不動産特定共同事業者・小規模不動産特定共同事業者の方は、施行規則の改正とあわせてこの監督留意事項の内容を十分に確認し、書面の記載内容や社内体制の見直しを進めることが重要ですびっくりマーク

本記事は令和8年5月時点で公表された改正案をもとに作成しています。正式な施行にあたっては、最終的な改正内容を必ず確認してください。

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