年明けに申請手続きを行った新宿区1棟マンションの旅館業申請の営業許可が無事に交付されました
ご相談を頂いたのは昨年秋には、すでに住宅宿泊事業の届出を行い、民泊営業中の状態でしたが、6/15の営業開始からほぼ満室稼働なので、180日の制限のない、365日営業可能なホテルにコンバージョンしたいとのご依頼でした。
物件オーナー様、建築士の先生、運営代行会社の皆様と連携し、旅館業取得に向けて準備を進めてきました。
無事許可が下りて、とても嬉しいです
関係者の皆様に心より感謝、御礼申し上げます
最寄駅は飯田橋駅の、好立地にある、コンパクトで素敵なお部屋です。
5階建てで、各階2客室(定員2・3名)+最上階は広い1部屋(定員5名)の計9客室です。
1~4階のお部屋
ブルーを基調とした定員5名の最上階のお部屋
建築基準法的には、用途変更と一部増築の確認申請を行っています。
消防法的には、自動火災報知設備に付替え。
工事計画と並行させて、旅館業の申請、運営管理体制を整備・・・・・・・旅館業申請はチームプレイです
カピバラ行政書士の役割は、新宿区保健所と協議して許可を通すことですが、一筋縄にいかない新宿区。
特に時間と労力を費やしたのが、「玄関帳場の代替措置」の整備でした。
今回の物件は、既存建物(マンション)で、建物出入口の共用廊下に玄関帳場(フロント)を設置する空間的余裕がありませんでした。
そこで、緩和された改正旅館業法にのっとり、フロントは設置せず、「旅館業法施行規則第4条の3に適合する設備」を設けることで調整を進めてきました。
保健所へ提出する疎明書は、
・設備の設置場所を示す見取図及び平面図
・設備の機能および性能を示す書類
・設備の運用を申請者以外のものに委託する場合は、当該委託にかかわる契約内容を示す書類
具体的なオペレーションは次のようになります。
具体的な運用について、保健所から非常に細かいチェックが入りました
(1)共用部入口に設置したICT機器(タブレット)で宿泊者がチェックイン
建物の入口近くにチェックインを行う、ICT機器を壁付で設置しています。
施設に到着したゲスト(宿泊者)は、ICT機器から、氏名、住所、職業などを入力します。
(日本に居住しない外国人の場合はパスポート撮影も)
記載事項は宿泊者名簿記載事項として法定されているもの+新宿区が独自に設定している項目
必要事項の取得漏れがないように、システムを調整します
(2)ビデオカメラ通話により、オペレーターが宿泊者の本人確認
(3)本人確認後、鍵の受渡し(スマートロックの暗証番号通知)
当初は、本人確認作業は、運営代行会社が提携するフィリピンのコールセンターで実施する予定でした。
しかし、保健所から求められたコールセンターとの業務委託内容の契約書の準備に時間がかかる+
コールセンターの現地確認が難しいので、代行会社自らが本人確認を行う方法に変更しました。
(4)緊急時に10分以内の緊急駆付けることができるよう管理体制を確保
今回は運用代行会社の管理事務所が近距離にあり、本人確認も、10分以内駆けつけも、
運用代行会社内で対応することができるので幸運でした
(5)各客室に緊急時連絡用の手段を設置
宿泊者から営業者に対して、緊急連絡用の手段を確保することが必要です。
(6)施設出入口に、出入りの状況が確認できるビデオカメラを設置し、不審者がいないか常時モニタリング
現場ではICT機器や、ビデオカメラの動作確認が行われますが、機器の性能に関する詳細資料も提出します。
今回は購入したタブレット端末に、他社が開発したチェックインのためのソフトウェアを利用しています。
管理事務所の平面図、実際に対応する人員体制、担当者の在籍確認のため、施設だけでなく事務所への検査も行われました。
その他苦労した点はリネン庫の確保です
既存建築物なので、遊んでいるスペースがほとんどなく、増築により、共用部に小さなリネン庫を設けました。
それでも保健所から「そのリネン庫に果たして宿泊者全員分のリネンが入るのか」という指摘を受け、
リネンの容量を計算するなど、非常に細かい点まで指摘がありました(とほほ)。
実際の運用では、リネンは清掃時に持ち込むので問題ないのですが・・・・
「玄関帳場の代替措置」については、法令に詳細な規定がなく、現時点では実例もあまり多くないことから、
自治体ごとの解釈により、求められる要件が異なります。
運用や管理面についても、以前よりどんどん細かく指導されるようになってきており、旅館業申請手続きのハードルが年々高くなっているように感じます
許可証が下りて、ひとつ肩の荷が下りました。
ほんとうに関係者皆様のご協力あってのことと、感謝・御礼申し上げます
お手伝いさせて頂いた施設の経営が、末永く順調に、存続しますように。
後日、「あの時は大変だったけど、旅館業のライセンスを取得してよかった」と仰って頂くのが何よりうれしいです