先週は、民泊・旅館業の打合せや現場確認・調査と、慌ただしくも充実した1週間でした。
ファンドの新規の相談も2件ありました。
1件は、「適格機関投資家等特例業務の届出」というものです。
新規のホテル開発を進めるための資金調達として投資家からお金を集める場合、本来は第2種金融商品取引業者としてのライセンスが必要ですが、
一定の要件を整えることで「届出」のみでライセンス不要でファンド募集が可能になるので、その手続きを相談したいという内容です
もう1件は、新しく不動産クラウドファンディングを始めたいという宅建業・賃貸管理会社のお客様でした。
まずは会社の組織体制、決算書等を確認し、申請を進めるにあたっての社内体制の構築をアドバイスしました。
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そして、以前のブログでも触れた、申請中の荒川区のマンション一部の旅館業について、営業許可交付の連絡がありました
荒川区では2019年4月より条例が改正され、マンションの一部での旅館業申請については、出入口および廊下等を住居部分と区画することが新しく構造設備基準として設けられました。したがって、本件のような既存マンションの一部での旅館業許可を取ることは、今後は難しくなるでしょう。
荒川区は旅館業許可基準がゆるく、都内では相対的に不動産価格が低いこともあり、ここ数年、民泊が盛んなエリアでした。
しかし、2018年6月には厳しい方向に条例改正したため、東京23区内において最も許可ハードルが高いエリアの1つになりました。
荒川区での旅館業申請は、次の手順で許可申請手続きを進めます。
①施設敷地において標識を設置し、近隣住民に呈して計画公開を行う
②荒川区に標識設置届を提出
③説明会実施について近隣住民に告知する(同一建物内の住民、敷地から半径10m以内の建物の住民、前面道路が10m御南の場合は、幅員10mの道路に接するまでのすべての住戸の住民で、住民には事業者も含む)
④説明会の開催
⑤区に説明会開催報告書を提出
⑥用途変更や前面道路の幅員が10m以下の場合は、町会との協定書の締結も必要(要綱))
⑦建物の安全指導要綱に基づく審査(都市計画課)を受ける
⑧旅館業申請書の作成・提出
⑨所轄消防署に消防手続きを行う
⑩消防・保健所検査
これらをクリアしてようやく許可取得にこぎつけます
本件は新しいマンションで申請に必要な図面関係が整っており、進めやすい案件でしたが、手続きが複雑な荒川区で、近く厳しい条例改正が予定されているという情報があったため、大急ぎで業務に着手しました。
施設の内部の写真をいくつかご紹介します。
まず、玄関帳場(フロント)を設けていないので、代替設備を整えて申請しています。
客室の出入の状況を、施設内の管理事務所確認できるビデオカメラを設置し、リアルタイムで状況を確認しています。
鮮明な画像で確認できるか保健所の方にも確認していただき、無事合格しました
客室は20㎡前後のワンルームタイプですが、ホテルとしては十分な広さがあります
客室定員は各3名(ダブルベッド+布団)として申請しています。
キッチンも小さいものの、マンション用なので機能はしっかりしていて調理も可能です
冷蔵庫、電子レンジ、ケトル、一通りの調理器具も備え付けているので、宿泊だけでなく中長期の滞在にも適しています
あたりは住宅街なので、本件ホテル計画の開始にあたり、近隣住民を対象とした説明会も開催し、周辺住民とも話し合いの場を設けました。
住民側の意見、要望は、住宅街であるため騒音や治安の悪化、ごみの処理や、寝たばこによる火災の心配など
生活者の立場に立てば、もっともな内容だと感じました。
きちんとした運営体制で管理する旨を説明したことで、円満に進めることができそうです。
地域の町会長様ともご挨拶して、所属する町会とも運営に関する協定書を締結しました
無事に許可を取得することができ、依頼者もたいへん喜んでくださいました。
関係者一同笑顔でスタートを迎えることができ、充実感と達成感でにっこり。
2020年の東京オリンピックに向けて、今後の運営が楽しみです。
旅行者に喜ばれ、周辺からも歓迎される施設として、末永く営業してもらえますように