リートの運用も行うトーセイ(株)が不動産特定共同事業に参入! なぜREITではなく『FTK』なのか?①

既存不動産の有効活用・流動化促進のため、近年、規制緩和が行われている不動産特定共同事業法。

それに応えるかのように、新規でFTK事業に取り組みを始める事業者も増えていますし、商品のバリエーションもどんどん豊かになってきたと感じる今日この頃ですおねがい

本日は、中でも特に新しく、個人投資家に嬉しい、国内初の特例事業(SPC)型FTKクラウドファンディングについて解説しますうずまき

 

リートの運用も行うトーセイグループが不動産特定共同事業に新規参入!

 

東京証券取引所第1部に上場し、不動産物件の投資・開発・賃貸・管理を行うトーセイ株式会社(本社:東京都港区)が、国内で初となる不動産特定共同事業法に基づく個人投資家向けの特例事業(SPC)型クラウドファンディングサイトトーセイ不動産クラウド TREC FUNDING(トレック ファンディング)をリリースし、8月29日に第1号案件となる「TREC1号 世田谷区用賀マンション投資ファンド」の募集が行われました。

サイトリリース後、大きな注目を集めていたTREC FUNDING。

 

世田谷の第1号案件は、申込開始から1時間も経たないうちに満額162,400,000円に達し、募集が締め切られたそうですびっくり

すごい人気ですね!!

トーセイグループは不動産流動化、開発、賃貸、ファンド・コンサルティング、ホテル、管理の不動産に係る6つの事業を展開しており、不動産証券化の分野では、トーセイ・リート投資法人の運用を行っています。

そんなトーセイ(株)が、2020年1月に不動産特定共同事業法に基づく許可(電子取引業務を含む)を取得し、不動産クラウドファンディングサービスサイトを公開したのを受け、当事務所にも

 

「トーセイ(株)は既にリートも運営しているのに、なぜ今更、不動産特定共同事業なの?キョロキョロ

 

という質問が寄せられました。

 

この質問に対するカピバラ行政書士の考えは・・・

 

(1) リートの投資基準に満たない不動産の証券化を可能にすること

(2) 成長が著しい「不動産クラウドファンディング」市場に参入すること

 

の2つであると見ていますダルマ

 

以下、この2つの視点からトーセイ(株)がFTKに参入した理由を考えてみましょう。

 

(1) リートの投資基準に満たない不動産の証券化

不動産特定共同事業は、リートとは仕組みが異なり、事業者に求めれれる社内体制も、対象となる不動産アセットもちがいます。

 

リートは、「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づき設立・運営されます。

 

上場することが可能であるリートは、取得するアセットもそれなりに優良で規模が大きいことが一般的です。

 

ここで、トーセイ・リート投資法人の投資運用方針を見てみましょう下矢印

 

「日本の不動産市場に存在する「膨大な既存建築ストック」の活用・再生を目的に、取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産、又は築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産を主な投資対象とする」

 

より具体的には、住居(例:投資用1棟マンション)に投資する場合には、次のような基準を満たすべき旨が示されています。

 

●1物件当たりの最低投資金額3億円以上、

●メイン住戸の専有面積が1戸当たり20㎡以上、

●原則として新耐震基準以上の耐震性能を有する東京経済圏内に所在すること など

 

(参考:トーセイ・リート投資法人2020年4月期有価証券報告書

 

ここで、トーセイのFTK第1号案件「TREC1号 世田谷区用賀マンション投資ファンド」の対象物件を見てみると、

 

●物件取得金額は約2億5300万円 (3億円未満)

●各戸の専有面積は18~19㎡がメイン (20㎡未満)

 

よって、トーセイ・リートの投資基準を満たしていません。

 

しかし、リートの投資基準に当てはまらない物件であっても、より低コストで組成できるFTKであれば、十分に魅力的なファンドに仕上がる可能性があります(注)。

 

(注)FTK事業を行うためには不動産特定共同事業の許可を受けることが必要ですが、①ファンドの監査は任意、投資運用業や取引一任代理のライセンスは不要等、低コストで組成できます。

 

この点、不動産の再生を得意とするトーセイグループは、リートの投資基準には満たないけれども、ポテンシャルのある不動産を豊富に有していると考えられ、そのような不動産を対象とするファンドを組成できるようにFTKに参入した、と考えることができますヒヨコ

 

(2) 不動産クラウドファンディング市場への参入

近年、「運用難に悩む個人」と「不動産」をインターネットで直接つなぐ不動産クラウドファンディングの市場が急拡大しています。

 

(一社)日本クラウドファンディング協会の調査によると、融資型のクラウドファンディイング(いわゆるソーシャルレンディング)の規模が縮小する一方、FTKを用いたクラウドファンディングの規模が拡大する傾向が示されています下矢印

 

出所:(一社)日本クラウドファンディング協会 『クラウドファンディング 市場調査報告書』 (2020年6月19日)

 

J-REITもインターネットで購入できますが、①証券口座を開設する必要がある、②エクイティ性の投資でありリスクが高い、といった問題があり、投資初心者が気軽に投資できるものではありません。

 

この点、FTKを用いた不動産クラウドファンディングは、①証券口座なしでも本人確認を行えばすぐに投資できる、②リスクの低いデット性の商品(優先劣後構造のFTKファンド商品)への投資家が可能である、といった特長があり、投資経験の少ない個人から人気を集めています。

 

今回、トーセイ(株)が組成した「TREC1号 世田谷区用賀マンション投資ファンド」はエクイティ型の商品ですが、今後、同社は優先劣後構造を採用したデット性の商品を提供することで、個人投資家のすそ野を広げて行くのではないか、と予想(期待)しています富士山

 

ここまでは、「事業者」の視点から、不動産特定共同事業活用のメリットについてみてきました。

次回は、「投資家」の視点から、特例事業(SPC)型がなぜ注目されるのかについて、そのメリットを解説しますキラキラ

 

乞うご期待くださいハート

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