
8月となり、蝉の声が一層強く響く季節になりましたね。
今回は、現在大きな話題となっている不動産特定共同事業「みんなで大家さん成田」の最新情報をお伝えします。
________________________________________
分配金が届かない──投資家が目を覚ました夜
7月31日、本来なら分配金が届くはずの日。
しかし、多くの出資者の元に届いたのは、1通のメール。
「分配金の支払いが一時的に遅延します」
通知を受け取った投資家の中には、不安で眠れず、
あるいは深夜にふと目を覚ました方もいたことでしょう。
そんな情景を、私は一首の短歌に込めました。
【短歌】
蝉時雨 成田に霞む 砂の城
崩れし夢に 覚醒の夜
【解説】
「想定利回り7%」──魅力的な数字に導かれ、
千葉県・成田空港近くの広大な土地開発に夢を託した人々。
集まった資金は実に1580億円超。
しかし、グループ内での賃料滞納、説明不足、行政処分……
制度の“外側”で膨らんだ夢の構図が、
音もなく崩れつつあります。
________________________________________
【くるみからの問い】
🏛 制度に守られた夢、制度に揺らぐ夢
この件は、制度そのものの問題ではありません。
しかし、制度の信頼性を支える「運用と説明責任」、
そして「構造的な透明性」がいかに重要かを、改めて私たちに問いかけています。
•想定利回りは、どのような前提で成り立っているのか?
•テナントは誰か?支払能力は?
•説明は十分に尽くされていたのか?
•資金は誰がどう使っているのか?
制度のすき間を縫ったスキームが、結果として制度そのものの信頼を傷つける──
これは不特法を扱うすべての事業者が直視すべき、静かで重い現実です。
【国交省、不動産特定共同事業の制度にメスを入れる】
この事案を含む一連の動きを受け、国土交通省も制度改正に向けて本格的に動き出しています。
不動産市場整備:一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会 – 国土交通省
✓出資者保護の観点から説明義務や情報開示の強化
✓関係会社間取引やキャッシュフローの透明性の確保
✓インターネット取引における不適正な勧誘への対応
まさに、「制度の理想」と「現場の現実」の間にあるひずみを、制度側からも見直していこうとする姿勢が見て取れます。
________________________________________
【まとめ:今こそ投資の本質を見直すとき】
投資は“構想”と“制度”の両輪で成り立つ夢を見ることは悪くありません。
しかし夢を現実に変えるには、制度の理解、リスクの評価、そして誠実な運用が不可欠です。
短歌にある「崩れし夢」は、決して他人事ではありません。
それは、制度に関わる私たち全員が自らの夢のあり方を省みるきっかけでもあるのです。
それでは、引き続き暑さに気をつけて、誠実で安心な不動産ファンドの未来をともに育てていきましょう