10月15日、「不動産特定共同事業法の施行規則改正と不動産クラウドファンディング市場の動向」をテーマとしてJsync株式会社玉主催のセミナーに講師として登壇しました。
今回は、法改正のポイントから、実際のファンド組成や書面作成で気をつけたいことまで、事業者の皆様が日々の業務で直面する課題を中心にお話ししました。
金利が上がるなか、不動産ファンドをどう活用するか?
前半では、10年国債利回りが3%を超える急激な金利上昇、建築費の高騰、金融機関の融資姿勢の変化など、不動産事業を取り巻く環境を整理しました。
銀行ローンを使って個人投資家に投資不動産を販売する従来の事業モデルは、頭金割合など、銀行の融資条件の厳格化により、転換を迫られています。
年収1千万円などの属性を頼りに、頭金なしでフルローンやオーバーローンを組む手法は、すっかり過去のものとなりました🥺
そのなかで、複数の投資家から出資を募る不動産ファンドは、資金調達や物件の販売方法を考えるうえで、有力な選択肢の一つです。
セミナーでは、SPCを活用した特例事業(3号・4号事業)についても、ホテルを対象とする大型ファンドの事例を交えてご紹介しました。投資家の出資と金融機関からの借入を組み合わせることで、取り扱う物件や事業の規模を広げる可能性があります。
一方で、投資家が選べる金融商品も多様になっています。「どのような物件を、どのような条件で運用し、その魅力とリスクをどう伝えるか」が、これまで以上に大切になっていると感じます。
法改正で、自社のファンドは何が変わる?
第1部の後半では、施行規則改正への実務対応を取り上げました。
条文を読んで改正内容を理解しても、実際に書面を作り始めると、「この物件では何を書けばよいのだろう」「どの資料を用意すれば説明できるのだろう」と、手が止まることがあります。今回は、そうした場面をイメージしていただけるよう、次のような論点を具体的に解説しました。
・自社やグループ会社から物件を取得する場合、取得価格の妥当性をどう説明するか
・運用終了後、後継ファンドへ物件を売却する場合、鑑定評価や売却価格をどう整理するか
・想定利回りの計算根拠を、投資家にわかる形でどう示すか
・出資金の使途について、募集時の予定と運用後の実績をどう記載するか
・開発型ファンドについて、許認可や工事進捗などをどのように伝えるか
例えば、自社開発物件と外部から購入する物件では、取得価格の説明に使える資料が異なります。また、ホテルなどの物件では、近隣の一般的な賃貸物件の情報だけでは説明が難しい場面もあります。
そのため、自社の物件や取引の内容に合わせて、必要な資料と説明方法を考えることが大切です。

書面作成の前に、組成計画とスケジュール、費用の確認を
今回、特にお伝えしたかったのは、改正対応をファンド組成の早い段階から考えておくことです。
募集直前になってから鑑定評価などの必要性を検討すると、追加の費用や準備期間が生じ、当初のスケジュールや収支計画を見直すことにもなりかねません。
「どこから物件を取得するのか」
「運用終了後は誰に売却する予定なのか」
「利回りはどのような前提で計算しているのか」
こうした計画と、投資家向けの書面に記載する内容を、併せて整理しておくと準備が進めやすくなります。
第2部では、不特法対応の運営システム「ファンディングツール」の機能改善や、法改正に対応した書面作成支援機能の開発状況が紹介されました。制度への対応とともに、書面作成や運営にかかる負担をどう軽減していくかも、事業者の皆様にとって関心の高いテーマです。
参加者の皆様から、うれしいお声をいただきました
開催後のアンケートではお多くの参加者に「とてもわかりやすい」「わかりやすい」と評価いただきました。
また、「法改正・施行規則改正に伴う変化などは大変勉強になります」とのお声のほか、今後のテーマとして、契約成立前書面・財産管理報告書の記載例や、他社の実例を知りたいというご要望もいただきました。
日々のご相談でも、「制度の概要はわかったけれど、自社の場合にどう当てはめればよいか」という点が、悩みどころになります。今回いただいたご意見も、今後の情報発信やセミナーに生かしていきたいと思います。
自社の場合はどうなる?と思ったら、ご相談ください
当事務所では、不特法の許可申請から、ファンド組成、契約関連書面・財産管理報告書の整備、行政への相談・照会まで、事業の状況に応じた支援を行っています。
「いま使っている書面を、一度確認してほしい」
「この物件をファンドにする場合、何から準備すればよい?」
「自社物件の組入れや後継ファンドへの売却について相談したい」
「3号・4号事業を活用したいが、自社に合うか知りたい」
このような段階から、ご相談いただけます。検討中の物件や現在お使いの書面を拝見しながら、必要な対応や進め方を一緒に整理します。
ご参加いただいた皆様、開催にご尽力いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。
