こんにちは、
不特法アドバイザーの
石井くるみです
令和4年6月7日、内閣府
が閣議決定されました
キーワードは「新しい資本主義」です。
いかにして、課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現するのか
私たちの暮らしやビジネスの展開の指針となる骨太方針。
本日は、骨太方針が不動産事業や不動産特定事業法(不特法)などに基づく
ファンドビジネスに与える影響について見ていきましょう
背景:国際情勢と社会課題
私たちは、急激な国際情勢の変化と
噴出する社会課題に直面しています。
新型コロナウイルス感染症、
ロシアのウクライナ侵略、
差し迫る気候変動問題、
円安や資源高による海外への資産流出、
人口減少・少子高齢化、
潜在成長率の停滞、
災害の頻発化・激甚化など、
内外の難局が同時複合的に押し寄せています
このような状況を受け、日本政府は、
官民が協働して難局を乗り越え、
経済社会構造の変化に対応する、
持続可能な「新しい資本主義」を実現するための政策を
骨太方針2022として打ち出しました。
骨太方針2022は、不動産事業やファンドビジネスに
どのような機会をもたらすのでしょうか
資産所得倍増プラン
骨太方針で最も注目すべきは、
投資による「資産所得」の増加を目指す政策です。
現在、個人金融資産2,000兆円のうち、
その半分以上は預金・現金で保有されています
貯蓄から投資の流れを加速させるため、
株式投資分野では、NISA(少額投資非課税制度)の拡充や、
高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革が検討されています。
これらの制度は不動産投資やファンドビジネスに直接は適用されませんが、
「貯蓄から投資」の強化は、不動産関連ビジネスを牽引する強力な流れと言えます
標語だけでは投資は進みません。
同時に国民の金融リテラシーの向上させることが重要で、
その上で、実物不動産に紐づいた不動産ファンドは、
初心者においてもハードルが低く、
今後ますます重要な投資対象となっていくでしょう
現金をただ、眠らせていくのはもったいない
グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
不動産事業とファンドビジネスの両方に影響する政策が「GXへの投資」です。
150兆円超の官民の投資を先導するため、
政府は「GX経済移行債(仮称)」を先行調達し、
投資支援に回していくことが検討されています。
企業の排出削減に向けた取組を加速させるためには、
GXリーグ(官民一体でGXを議論する会議体)の段階的発展・活用、
トランジション・ファイナンスなどの
新たな金融手法の活用が挙げられています。
国際展開戦略も踏まえ、企業が投資の予見可能性を高められるよう、
夏には総理官邸に新たに「GX実行会議」が設置され、
具体的なロードマップが示される予定です
不動産事業については、省エネ住宅の購入・改修支援を含めた
ZEH・ZEB等の取組み推進や国産木材を活用した住宅などの建設が、
ファンドビジネスについては、
森林吸収源対策等に関連する森林ファンドの組成などが
ビジネスチャンスになっていくでしょう
PPP/PFIの活用による官民連携の推進
公的不動産に関しては、
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)及び
PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)
に関する方針にも要注目です
骨太方針は、今後5年間をPPP/PFIの「重点実行期間」と位置付け、
PFI推進機構の機能も活用・強化しつつ、
関連施策を集中的に投入するとともに、
幅広い自治体の取組を促していくそうです。
交付金等についてもPPP/PFIへの活用が促進されるよう制度改善を検討されます。
まずは、「デジタル田園都市国家」構想の推進力として活用し、
地域交流の場である公園・公民館等の身近な施設への
新しい活用モデルを形成されていく予定です。
不動産会社は今後ますます、地域不動産活用のプロフェッショナルとして、
中心的役割を担っていくことが期待されます
インパクト投資と共助社会づくり
ファンドビジネスの展開に関しては、社会的なインパクトを産み出す
「インパクト投資」が新たなトレンドとなるでしょう
インパクト投資では、従来の「リスク」、「リターン」に加えて、
地域への「インパクト」を測定し、「課題解決」を需要な評価尺度と位置付けられていきます。
今まで経済的価値から離れた「社会によいこと」は、
寄付や善意の想いに頼っていたきらいがありますが、
今後は「社会課題の解決」と「経済成長」の両立を目指す取り組みが支援されていき、
不動産ファンドにおいても例外ではありません
もともと、不動産ファンドは、「まちづくり」「地域経済の活性化」「地域の人々のつながり」など
、よいインパクトをたくさんもたらす存在です。
不動産ファンドがインパクト投資の重要な柱の一つと位置付けられることで、
市場規模の拡大が加速することが期待されます
東京一極集中の是正と多極化・地域活性化の推進
人々の住まい方に関して、骨太方針は「デジタル田園都市国家構想」を打ち出し、
「地方創生・活性化」と「分散型国づくり」の推進を掲げます。
ずばり、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現です
関係人口の創出・拡大や多地域居住が進められ、
テレワークを活用することによる
「転職なき移住」が実現したらステキだと思いませんか
私は、夏は北海道、冬は沖縄、春秋は東京で過ごしたいです・・・
具体的な政策として、地方企業や地域人材との交流・連携の促進、
全国版空き家・空き地バンクの活用、空き家や企業版ふるさと納税の活用等による
サテライトオフィスの整備等が検討されています。
また、コミュニティデザイン促進のため、
自治体への人的支援の充実や、
まちづくりを担う経営人材派遣も検討されています
人・モノ・カネがエリアに関係なく行き交い、
地方不動産が活性化されていくでしょう。
資金面で重要な役割を果たすのはやはり不動産ファンドです
骨太方針2022のまとめ
大量生産・大量消費から、必要なものを、必要な時に必要なだけ。
他人にも、地球にも環境にもよい暮らしとは何かを考えてみましょう
誰もが「住まい」を持っています。
人と人がゆるやかにつながり、
寂しくない、こころやすらぐ社会の実現は、
不動産とファンドが牽引していくといっても過言ではありません。
そこにほんとうの「幸せ」のカタチがあるように感じます