任意組合に代わる商品は何か? 2026年以降の不動産小口化戦略 ~特例事業かSTか?メリット・デメリットを比較~

こんにちは。
不特法アドバイザーの石井くるみですニコニコ

3月に入り、早咲きの桜が満開を迎えましたね。

さて、ここ最近、これまで任意組合型商品を組成・販売してきたクライアント様から、

「2026年以降の事業戦略をどう再設計すべきか?

というご相談が増えています。

背景は明確です。

2026年税制改正により、不動産小口化商品の相続税評価は

市場価格ベースへ見直される方向となり、
任意組合型商品の相続税圧縮効果は実質的に失われる見込み
です。

任意組合を主力商品としてきた事業者は、

任意組合に代わる商品は何か?

という問いに向き合う段階に入っています。

この問いに対する答えは、

①1号事業・匿名組合→②特例事業・匿名組合→③ST(セキュリティ・トークン)

となります。

本メルマガはかなり長くなりますので、概要をさっと知りたい方は、

次のショート動画をご覧ください。

👉 3分で分かる不動産ファンドの新戦略

■ 第1の柱:1号事業・匿名組合の再定義

― 顧客獲得に特化した戦略商品

まず最初のステップを整理します。

【1号事業・匿名組合の特徴】

・組成コスト:低い
・スピード:速い
・倒産隔離:なし
・オフバランス:不可
・税制:総合課税

本質は、低コスト・高速回転型の顧客獲得商品です。

1号商品は、

・投資家との接点をつくる
・会員基盤を拡大する
・LTV(顧客生涯価値)を高める

ためのフロント商品として機能します。

任意組合は終わるのではなく、

顧客獲得に特化した戦略商品へ進化する

という位置づけになります。

■ 第二の柱:特例事業・匿名組合(GK-TK型)

【特例事業(匿名組合型)の特徴】

・組成コスト:中
・スピード:中
・倒産隔離:あり
・オフバランス:可能
・税制:総合課税

特例事業は、

バランスシート戦略商品です。

開発案件や金融機関協調案件では、
倒産隔離とオフバランスが重要になります。

匿名組合が「顧客獲得装置」なら、
特例事業は「財務戦略装置」です。

■ 第三の柱:不動産のデジタル・アセット化

セキュリティ・トークン(ST)とは何か?

ここで登場するのが、セキュリティ・トークン(ST)です。

STとは、金融商品取引法上の有価証券をブロックチェーン等でトークン化したものを指します。

不動産分野では主に、受益証券発行信託をトークン化した商品がSTとして扱われます。

従来の証券化商品をデジタル化し、
オンラインで管理・移転可能にしたものと理解すると分かりやすいでしょう。

■ ST(受益証券発行信託型)の特徴

・組成コスト:高い
・スピード:遅い(1~2年以上)
・信託構造による倒産隔離
・基本オフバランス
・個人投資家は申告分離課税

ここが決定的な違いです。

✔ 分離課税
✔ 信託構造
✔ 証券化商品としての信用力

高所得者にとって明確な税メリットがあり
今後の不動産証券化の主戦場の一つになる可能性があります。

■ STの販売モデルの進化

通常、STは証券会社が販売します。

そのため、

・引受手数料
・販売手数料
・継続コスト

が発生し、コストは高めです。

しかし最近は変化が出ています。

① 自己募集モデル

クレディセゾンのように、自己募集で直接販売する事例が登場しました。

自己募集は、

・既存投資家を抱える不特法事業者

・不動産クラファン事業者
・顧客の銀行口座情報を把握している事業者

と親和性が高い。

既存の会員基盤を活用できるからです。

② 証券会社の内製化モデル

さらに、大手クラファン事業者が証券会社を買収し、

ST販売からセカンダリーまでを内製化する動きも出てきました。

なぜかキョロキョロ?

自己募集では、

1項有価証券のセカンダリー(売買媒介)が扱えないからです。

セカンダリーを扱うには証券会社機能が必要になります。

■ 不特法1号・匿名組合をST化すればよいのか?

1号商品のST化は理論上可能ですが、

・原則1項有価証券
・開示規制対象
・分離課税にならない

取得制限・譲渡制限により1項有価証券化を避ける設計も可能ですが、

・高額取得制限
・流通性低下
・税メリットなし(依然として分離課税にならない)

結論として、

1号事業・匿名組合のST化は戦略的な解ではない。

■ 三層商品戦略

理想的には、

まず、1号事業・匿名組合で顧客獲得

→ 次に、特例事業・匿名組合で財務戦略

→ そして、STで高付加価値商品

という階層構造を設計することが理想的です。

■ 最後に

2026年は、商品再設計のタイミングです。

相続税圧縮モデルからの脱却は不可避。

しかしそれは、

不特法事業を“金融ビジネス”へ進化させる機会

でもあります。

任意組合の次を考えることは、
事業ポジショニングを再定義すること。

くるみ事務所では、ご相談があれば、

・三層商品戦略の設計
・ST自己募集モデルの可否診断
・証券会社内製化の検討整理

実務レベルでご支援します。

次回は、

「STを自己募集する場合の法的・実務的論点」

を解説します。

お楽しみにおねがいキラキラキラキラ

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