
2025年7月12日(土)、和歌山市で開催されたセミナー
『二地域居住推進セミナー ~猫と暮らす貴志川線レジデンス開発に向けた調査・検討事業~』
に登壇させていただきました
セミナーは、国の政策である「二地域居住」の推進をテーマに、和歌山という地における空き家再生や地域活性の可能性を探るもの。
地元企業・行政・大学までが一堂に会し、熱のこもった議論が交わされました
二地域居住推進法とは?
2024年11月に施行された「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部改正」により、「二地域居住」の促進が本格化しました。
都市と地方、都市と都市、地方と地方など、複数拠点に生活基盤を持ち、ゆるやかに「地域とつながる」ライフスタイル。
これを「制度」として後押しすることにより、関係人口の創出や地方の活性化、さらには地元の人々が地域に誇りを持ち続ける仕組みづくりが期待されています。
二地域居住推進法の制度の詳細はこちらをご参照ください。
セミナーの内容と登壇者
今回のセミナーは、和歌山モデルの先導的事業として採択された「貴志川線レジデンス構想」を中心に構成されました。
「猫と暮らすレジデンス」というユニークな切り口はもちろんのこと、「空き家再生×二次交通×地域観光×資金調達」という、多層的なテーマが絡み合う注目プロジェクトです。
ネコ駅長「タマ」で有名な貴志川線沿線の空き家を活用した宿泊・商業施設を不動産ファンドにより調達した資金で再生(リノベ)し、観光需要を喚起しようという試みです
パネルディスカッションでは、
国交省 地方政策課の酒井達朗氏
百戦錬磨の上山康博氏
和みの古田高士氏・永田大樹氏
カピバラ好き行政書士・石井くるみ
といった錚々たるメンバーとともに登壇し、それぞれの立場から見解を共有しました。
「行く目的」のある関係人口をどう創出するか
セミナーで印象的だったのは、地域に人を呼び込むためには「行く目的」が必要という共通認識があったこと。
単に住まいを提供するのではなく、一活性の観光イベントを考えるのではなく、「仕事や人などのつながりがある」「地域の物語に深く触れる」「拠点とすることに持続可能なライフスタイルを試す」といった、明確な体験価値を設計することが不可欠です。
こうした関係人口が地域に根を下ろし、いずれ「移住者」「事業者」として定着する未来への期待も語られました。
地域再生のための資金調達と不動産ファンドの役割
私の専門分野である「不動産ファンド」についても、重要な論点となりました。
結論として、多くの登壇者と見解が一致したのは、いかに優れた構想であっても、実現のためには資金調達の仕組みが必要である
という点です。
空き家再生には初期投資が欠かせません。地元金融機関の融資だけでは限界があるなかで、クラウドファンディング型の不動産ファンドや不特法スキームは、今後の地域再生の鍵を握る存在になっていくでしょう。
最後に:地域の可能性を、制度とファイナンスで支える
今回のセミナーは、「制度」と「現場」と「資金」をつなぐ非常に貴重な場でした。多様性が広がる中、居住地も複数あってよいはず…!
ライフスタイルの提案に、空き家再生の現場知と制度設計の知見、さらに不動産ファイナンスの視点を加えることで、より実効性の高いプロジェクトが生まれると確信しています。
地域の未来を信じる皆様とともに、これからも伴走してまいります🤗