不特法ファンドの分別管理と銀行口座 「ファンドごとの専用口座管理」は法令上の基本

本日はファンド事業で最も重要なコンプライアンス論点である『分別管理』のお話をします。

 

不動産特定共同事業では、投資家から出資を受け、対象不動産を取得・運用し、その収益を投資家に分配します。このとき、事業者が管理する投資家からの出資金、対象不動産から生じる賃料収入、売却代金、費用支払、分配金支払などは、不動産特定共同事業契約に係る財産として、法令に従って分別管理する必要があります。

 

不動産特定共同事業法27条は、不動産特定共同事業契約に係る財産を、事業者の自己の固有財産および他の不動産特定共同事業契約に係る財産と分別して管理することを求めています。

 

つまり、不特法上の分別管理では、「会社のお金とファンドのお金を分ける」だけでは足りません。Aファンドの財産とBファンドの財産も、それぞれ分けて管理する必要があります。

 

(1)分別管理の基本は「契約ごと」の管理

 

不動産特定共同事業法施行規則49条は、分別管理の方法について定めています。不特事業の業務に係る金銭については、当該金銭であることが名義により明らかな専用の口座を設け、金融機関への預金・貯金または金銭信託により管理することが求められます。

 

実務上は、対象不動産が同一である不動産特定共同事業契約ごと、すなわちファンド単位ごとに、専用の銀行口座を設けて管理することが基本になります。

 

(2)複数ファンドで同じ口座を使い回すことの問題

同一の口座を複数ファンドで使い回している場合、分別管理の観点から問題となり得ます。帳簿上はファンドごとに区分しているとしても、口座上、会社の固有財産や他のファンド財産と混在しているように見える場合には、法令上求められる分別管理が適切に行われているかが問題になります。

 

不特法上の分別管理は、単に社内管理上わかりやすくするためのものではなく、投資家財産を保護し、ファンドごとの財産関係を明確にするための法令上の基本的な義務です。

 

そのため、複数ファンドの資金を同一口座で管理する運用は、たとえ内部帳簿で区分している場合であっても、行政庁から慎重な説明を求められる可能性があります。

 

(3)一時的に他の口座を経由する場合の注意点

投資家からの出資金、賃料収入、管理会社からの送金等について、実務上、最初から各ファンド専用口座へ直接入金させることが難しい場面もあり得ます。

 

もっとも、不特法上の分別管理は、会社の固有財産および他の不動産特定共同事業契約に係る財産と分別して管理することが基本です。

 

そのため、他の口座を一時的に経由させる運用については、たとえ帳簿上区分している場合であっても、行政庁から分別管理の趣旨に照らして適切ではないと指摘される可能性があります。

 

したがって、実務上やむを得ず他の口座を経由させる必要がある場合には、漫然と運用を開始するのではなく、必要に応じて、あらかじめ行政庁に相談し、当該運用が許容されるか確認しておくことが望まれます。

 

行政庁への確認に際しては、他の口座に本来分別管理対象である金銭が滞留しない仕組みを事前に整理し、他の口座を一時的に経由させる場合であっても、分別管理の目的が達成できることを説明できるようにしておくことが重要です。

 

このような仕組みを構築するにあたっては、例えば、次の事項について、実務的に実行可能か検討する必要があります。

・ファンドごとに専用口座を設けること
・ファンド資金は原則として各ファンド専用口座で管理すること
・やむを得ず他の口座に入金された場合の確認頻度と振替期限
・振替記録の作成方法
・未振替資金の確認方法
・期限内に振り替えられない場合の記録方法
・必要に応じて、事前に行政庁へ確認すること

 

上記のような論点を整理したうえで、行政庁に対して、他の口座を経由させる必要性、資金が滞留しない管理体制、記録・確認の方法を説明できるようにしておくことが重要です。

 

まとめ

 

不特法ファンドの金銭管理では、「口座を分けること」が出発点です。

そのうえで、日々の入金確認、振替、記録、未振替資金の確認まで含めて、会社内で実際に運用できるルールとして整備することが重要です。

 

分別管理は、形式的に口座を開設すれば足りるものではありません。ファンドごとの財産が、会社の固有財産や他のファンド財産と混在しないよう、入金から支払、分配、振替、記録保存までを一連の実務として設計し、継続的に運用できる体制を整えることが、不特法事業者に求められます。

 

分別管理を始めとする内部管理体制についてのお悩みがあれば、ぜひ、ご相談くださいね🤗

 

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