いま、なぜ不動産クラウドファンディングが注目されるのか
その答えは、既存不動産ストックの流通促進が社会から求められているからです。
建築物の耐震化、老朽不動産の再生・・・・・・、新築ではなくとも、魅力と味わいのある物件のバリューアップ等を図り、開発することで建物を中心とした周辺エリア全体を巻き込み、地域の雇用創出や経済の活性化が図られる好循環を構築することが、日本社会にとって重要です
しかし、開発事業を行うには、色々と投資が必要(お金がかかるもの)です。
ファンドを1つ組成するにしても、商品設計をしたり、会社を作ったり、投資家を募集するための事務コスト、許認可申請の手間や、専門家への報酬、これらを維持するにもお金が必要です。
不動産がかかわる場合に大きいのが、不動産取得税や登録免許税などの不動産流通税です
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不動産特定共同事業法を中心とした不動産クラウドファンディングのセミナーを企画しました
【不動産クラウドファンディング】法規制とファンド組成の基礎知識
【日時】2019年5月11日(土)14:00 〜 15:30
【会場】日本橋くるみ行政書士事務所(地図はこちら)
【料金】21,600円(税込)
【定員】5名(先着順)
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投資家から小口の資金を集めて不動産の運用を行う、不動産ファンドのための法律「不動産特定共同事業法」
不動産特定共同事業法を活用した不動産クラウドファンディングのより一層の促進のため、国土交通省が更なる関係規則・通知の改正や、その他の関連する制度改善等を行うことを発表しました。
主な改正点は下記5点です。
①「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」の策定
②特例事業者の宅地建物取引業保証協会への加入解禁
③対象不動産変更型契約による長期・安定的な不動産クラウドファンディングへの参加を促進
④不動産特定共同事業への新設法人の参入要件の見直し
⑤不動産流通税の特例措置の延長・拡充
最終回は、不動産の取得・売却時に重要となる税制上の優遇措置について解説します。
日常の不動産取引において大きなコストとなるものの1つに不動産流通税が挙げられます。
不動産流通税は、①不動産取得税と、②登録免許税の2つから構成されます。
例えば、中古物件を売買した場合、
①不動産取得税は、原則として不動産価額(注:売買価格とは異なります)の3%~4%、
②登録免許税は、原則として不動産価額の2%です。
2つ合わせると、不動産価額=1億円の物件であれば5~600万円、10億円の不動産であれば5~6000万円の負担となります
不動産価額が大きくなればなるほどバカにできない金額です・・・・
不動産流通税を抑えるため、不動産ファンドの世界では、大規模な不動産は、ほとんど信託受益権にされています。
信託受益権の売買であれば、不動産取得税や登録免許税は課税されないためです。
しかし、信託受益権は不動産特定共同事業の枠組みには入りません。
信託受益権は不動産を信託財産とするものでも、規制上は「有価証券」に該当し、信託受益権を対象とするファンドスキームは金商法の適用を受けるためです。
また、中小規模の不動産を信託するのは手間と費用の面からも現実的ではありません。
そこで、今回、不動産特定共同事業法上の特例事業者等(不動産を取得することが目的の会社)が取得する不動産について、不動産流通税の優遇措置の延長が決定しました。
【登録免許税】 税率軽減(移転登記 : 2%→1.3% 、保存登記 : 0.4%→ 0.3 %)
【不動産取得税】 不動産価額から1/2控除(すなわち、半額に)
トータルで半分とまでは行きませんが、これでもだいぶ負担は軽くなります
また、今までは登録免許税に関する特例事業者及び適格特例投資家限定事業者に係る特例措置を受けるためには、次のような要件(制限)がありました。
① 対象不動産を、工事の竣工後、10年以内の譲渡しなければならない
② 対象不動産は、「土地及び建物の」を取得しなければならない(借地上の建物は不可)
平成31年4月改正では、①の要件が撤廃されるとともに、②について借地上の建物も登録免許税の軽減措置の対象となりました
これらの税制上の措置は、小規模不動産特定共同事業によるファンド組成においても効果的ですね
不動産クラウドファンディングに係る税制上の優遇措置を活用して、地方の遊休不動産の利活用推進に取り組みましょう