みんなで大家さんを巡る行政処分の続報をお伝えします。
要約
みんなで大家さん販売の執行停止の申立てが東京地裁に認められ、第一審判決の言い渡しから7日を経過する日までの間、業務停止命令の効力は停止することとなりました。
本日は、みんなで大家さん販売を巡る最新動向について、行政事件訴訟法を踏まえて解説したいと思います。
東京都による業務停止命令
前回のブログでもお伝えしたとおり、2024年6月17日、東京都は、ファンドの計画変更の説明が不十分であった等の理由から、みんなで大家さんシリーズの販売会社である「みんなで大家さん販売」に対して30日間の業務停止を命じました。
また、同日に、大阪府は、みんなで大家さんシリーズを組成・運用する「都市綜研インベストメントファンド」に対して30日間の業務停止を命じました。
処分取消訴訟と執行停止の申立て
これに対し、みんなで大家さん販売は、この業務停止処分の取消しを求め、東京都を相手に訴訟を提起しました。
同時に、業務停止処分の効力を一時的に停止する「執行停止」を求めました。
みんなで大家さん販売の主張は以下の通りです:
手続違背や裁量権の範囲の逸脱:処分が法律に基づかないものであること。
重大な損害の回避:業務停止により回復困難な損害が生じる恐れがあること。
緊急の必要性:即時の執行停止が必要であること。
他方、東京都はこの申立てに対して、処分の正当性と公共の福祉への影響を強調し、申立の却下を求めました。
東京地裁の判断とその影響
2024年6月20日、東京地裁はみんなで大家さん販売の執行停止の申立てを認め、業務停止処分の効力を第一審判決の言渡し後から7日が経過する日まで停止することを決定しました。
業務停止処分の効力停止により、処分の取消訴訟が継続する間、みんなで大家さん販売はファンドの販売業務の継続が可能となりました。
ただし、ファンドの組成・運用を行う都市綜研インベストメントファンドの業務停止命令の効力が停止されない限り、みんなで大家さんシリーズのファンド販売は再開できません。
都市綜研インベストメントファンドは、大阪府に対し、同様の取消訴訟と執行停止の申立てを行っていると見られています。
行政処分取消訴訟と執行停止の手続き
ここで、副次的なテーマとして、行政事件訴訟法に基づく「取消訴訟」と「執行停止」について簡単に解説します。
取消訴訟とは?
取消訴訟は、行政機関が行った処分が違法であると主張し、その取消しを求める訴訟です。
企業や個人が不当な処分を受けたと感じた場合、この訴訟を通じて正当性を争うことができます。
執行停止の手続きとは?
執行停止は、行政処分の効力を一時的に停止する手続きです。
これにより、取消訴訟が継続している間に処分の影響を受けることを防ぐことができます。
執行停止を認めるためには、以下の条件を満たす必要があります:
取消訴訟の存在:処分の取消しの訴えの提起がなされていること
重大な損害の回避:処分の即時執行によって回復困難な損害が生じる恐れがあること。
緊急の必要性:即時の執行停止が必要であること。
まとめ
今後は、①都市綜研インベストメントファンドについても同様の業務停止処分の効力停止が認められるか、そして、②みんなで大家さん側企業 vs 行政との間の取消訴訟がどのように進むかに注目したいと思います。
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