区分所有建物を対象とする共同投資(ファンド)に対する規制強化の動き(不特法の改正論点)

お盆休み明けは、新規の不動産特定共同事業の許可申請の事前面談のため、国土交通省への訪問からスタートしました。

 

予定より少し早く到着したので庁内を散策したところ、合同庁舎2号館の地下に大きな食堂があることを発見。お昼時でしたので、たいへん賑わっていました爆  笑

 

区分所有建物を対象とする共同投資(ファンド)に対する規制強化の動き

さて、国土交通省が設置した「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」が2020年4月に公表した中間とりまとめでは、区分所有建物を対象とする一定の転貸契約(区分所有不動産共同投資契約)を、新たに不動産特定共同事業法(不特法)の規制対象とすることを検討する旨が示されました。

 

規制強化が検討されている共同投資のスキームの概要は、投資家に販売した区分所有不動産(区分ワンルームマンションや区分ホテルなど)を販売元の宅建業者が一括借上げして、第三者(入居者やホテルの宿泊者など)に転貸をして、得られた収益を分配するというものです。

 

いわゆるサブリース型のワンルームマンション投資を指しているのではないかと思った方はスルドイ!

 

区分所有不動産共同投資事業のスキームイメージ

(日本橋くるみ行政書士事務所作成)

 

 

単に区分所有権を転貸する契約を規制対象とすると、既存のサブリース型のワンルームマンション投資を行っている事業者はすべて不動産特定共同事業の許可が必要となってしまいますニコニコアセアセ

 

それはあまりにも影響が広範に及ぶため、中間とりまとめでは、区分所有建物を転貸する契約のうち、次の2つの要件を両方満たすものにのみ対象とする方向を示しています。

 

①事業者が事前販売を伴うこと

②複数の区分所有不動産から得られる収益を合算して投資家に分配すること

 

このため、例えば新築のワンルームマンションを事業者に固定賃料で賃貸(いわゆるサブリース)することを条件として投資家に販売する事業は②の要件を満たさないことから、規制対象にはならないものと予測されます。

 

(真夏の日差しがジリジリ照りつける合同庁舎3号館太陽

 

区分所有不動産共同投資契約の特徴

上記の区分所有不動産共同投資契約は、最近加熱するホテル投資やオフィスビルにおいて一部事例が見られるものの、まだまだ一般的に見られる事業なスキームではありません。

 

しかし、カピバラ好き行政書士は、この「区分所有不動産共同投資契約」は、不特法の枠組みにおいてのみならず、他の不動産投資と比較しても大変優れた、事業者・投資家の双方にとってメリットがある事業スキームであると考えていますニコニコ

 

なぜなら、区分所有不動産共同投資契約は、

 

①空室リスクを抑え

②相続対策に有効

③複数の出口が存在

④投資家が不動産担保融資を受けやすい

 

という、既存の不特法に基づく不動産小口化商品と実物不動産投資のそれぞれのメリットを待つ、まさに良いとこどりとも言える、魅力的な特徴を持っているからですOK

 

当該「区分所有不動産共同投資契約」のスキーム解説とビジネスモデルの提案は、週刊全国賃貸住宅新聞での連載でも解説しています。

 

 

今後、区分所有不動産共同投資契約に対する規制強化の動向に注意を要するとともに、同契約が新たな不動産共同投資の手法として広がることが期待されます。

 

9月8日(火)に予定している「第10回不動産特定共同事業セミナー」では、区分所有不動産共同投資契約の体系的な整理と、具体的なビジネスモデルとして、①区分所有マンション共同投資事業、②区分所有ヘルスケア施設共同投資事業、③区分所有ホテル共同投資事業、④区分所有オフィス共同投資事業の4つを解説する予定です。

 

興味がある方はぜひご参加くださいウインクキラキラ

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