新築のマンションや戸建て住宅でも、住宅宿泊事業(新法民泊)の届出を行うことができますか?

12月に入り東京もぐっと冷え込んできましたが、皆様も忙しくされているかと思います。

私も「全国賃貸住宅新聞」や「家主と地主」、「不動産フォーラム21」などの執筆連載の〆切が前倒しになるに加えて、「年内に申請を出したい」というクライアントの希望が重なる上に冷え込んでくる12月。体調管理に気を使いますが、「忘年会」と称して、ご無沙汰な仲間と会う機会が増えて嬉しいこの頃ですキラキラ

 

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さて、話は変わり、本日は、住宅宿泊事業法に基づく民泊についてお話します。

『新築マンション入居者募集と同時に、入居者が入るまでの間は民泊として利用したいのですが、

居住実績がない新築マンション・住宅では届出ができないと聞きます。本当でしょうか?

 

という質問をよくいただきます。

カピバラ好き行政書士からの回答・・・・、『新築』の住宅であっても住宅宿泊事業の届出は可能ですキラキラ

 

住宅宿泊事業は『住宅』を活用した事業であり、「人の居住の用に供されている」家屋で実施する必要があります。

したがって、年の180日を民泊に、残り185日をイベントスペースにというのはNGですが、

「人の居住の用に供されているか否か」の判断にあたって家屋が新築か、そうでないかは関係がありません

なぜそう言えるのか・・・・答えは、法令に書かれています。
民泊にせよ、ファンドにせよ、事業を行う上でいちばん大切なのは条文をきちんと理解すること照れ
さっそく、住宅宿泊事業法を読んでみましょう。

(住宅宿泊事業法)
第二条 この法律において「住宅」とは、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいう。
一 当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める設備が設けられていること。
二 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当すること。

法第二条では、『住宅』に2つの要件を求めています。
第一号で求めているのは、台所、浴室、トイレ、洗面設備のいわゆる『4点セット』でわかりやすい内容ですね。

注意すべきは第二号です。

条文をどこできるのかがポイントですが、法二条二号では、「住宅」を「その他の家屋」であって、「人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるもの」と定義しています。

「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」「従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋」は「その他の家屋」に包含されますが、この2つは例示的であり、限定するものではなく、より広い範囲の家屋が「その他の家屋」に含まれると条文上は解釈されます。

むしろ、「住宅」を限定的に定義しているのは「国土交通省令・厚生労働省令で定めるもの」を規定する、施行規則2条各号となります。同条各号では、法二条二号の「国土交通省令・厚生労働省で定めるもの」として、次の3つを定めています。

(施行規則)
第二条 法第二条第一項第二号の人の居住の用に供されていると認められる家屋として国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、
次の各号のいずれかに該当するものであって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く。)の用に供されていないものとする。
一 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
二 入居者の募集が行われている家屋
三 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

「賃貸募集中の入居実績がない新築の住宅」は、規則第2条1項2号の「入居者の募集が行われている家屋」に該当するものと思われます。つまり、新築の住宅は、法2条2号の「従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋」には該当しませんが、「その他の家屋」には該当するものと解釈可能と考えられます。

 

「法」と書かれた本のイラスト

この法令解釈については、観光庁にも照会を行っており、観光庁の見解とも相違ないとの回答と、誤解が広がらないよう民泊ポータルサイトの「よくあるご質問 住宅宿泊事業法FAQ集」にも記載して下さったとの連絡を頂いたので引用しますお願い

新築のマンションや戸建て住宅でも、住宅宿泊事業を行うことができますか?

住宅宿泊事業法に基づく民泊は、「人の居住の用に供されている」家屋で実施する必要があります。
家屋が新築か否かに関わらず、
①現に人の生活の本拠として使用されている家屋
②入居者の募集が行われている家屋
③随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
のいずれかに該当するものであって事業の用に供されていないものであれば、「人の居住の用に供されている」家屋にあたります。
なお、民泊専用の物件は、上記のいずれにも該当しないため、マンションか戸建てかなどの建物の形態や新築か否かの別に関わらず、
「人の居住の用に供されている」家屋にはあたらず、住宅宿泊事業法に基づく民泊を実施することはできません。

法令を正しく読めば、何ができるかできないか必要なことはわかります。

法令を遵守しつつ、積極的にビジネスを展開していきましょうルンルンルンルン

 

 

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