GW明けの一週間は忙しくされていた方も多いかと思います。
カピバラ好き行政書士は不動産ファンド(不動産特定共同事業)に関する業務が動き出し、打合せや行政とのやり取り、新しいファンド商品の研究など、忙しくも充実した1週間でした。
不動産投資の新しいスタイルとして、1つの不動産を1人で保有するのではなく、多数の投資家で持ち合う「不動産ファンド」が、個人投資家の間でも急速に広がっています。
この週末は「不動産クラウドファンディングの基礎知識」と題したセミナーを開催しました。
投資ファンド、個人からの資金調達を検討する不動産会社、新しいファンド商品を検討する証券会社など、さまざまなバックグラウンドの方が参加してくださり、質疑応答やディスカッションも盛り上がり、とても有意義なセミナーとなりました
今後も最新動向を踏まえたセミナーを開催して参りますので、ご興味お持ちの方はぜひご参加ください。
【金融ビジネス×テクノロジー】
【日時】2019年6月7日(金)16:00~17:30
【第4回】不動産クラウドファンディング講座 不特ライセンス「再活用」戦略 (過去に取得したライセンスを新しく活用したい方)
【日時】2019年6月20日(木)13:00 〜 14:30
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実物不動産投資は、多額の資金と物件選定・運用管理に関する専門知識が必要であり、個人投資家が抱えるリスクとしては重たいものがあります
他方、不動産ファンドでは、物件選定から運用管理から売却までを専門性の高い宅建業者が担い、投資する金額も小さいものでは1口1万円など余裕資金の範囲で行うことができ、ポートフォリオの分散も図ることができます。
事業者にとっては、迅速な資金調達先が広がるということで、投資家・事業者どちらにも嬉しいメリットがあります
セミナーの中でも特に注目が集まったのは、この5月にリリースされた、新しい不動産ファンド「i-Bond」です。
不動産特定共同事業者として、「マリオンボンド」「サラリーマンボンド」などの実績がある株式会社のマリオン(東京都)が手掛けるファンド商品です。
この「i-Bond」は、不動産特定共同事業法に基づくファンドとしては、今までの商品にはない特長を持っています。
時代の最先端を行く画期的なファンド商品と言えるでしょう
i-Bondの主な特長は次の通りです。
①WEB上で申込から契約まで完結
本人確認書類の郵送のやり取りなどが必要なく、PC,スマートフォン1つで手続きができるのは、投資家にとって便利&手軽です。
②不動産変更(入れ替え)型で、運用期間が無期限
既存商品では、1つの不動産を対象として、取得から売却までの一連の取引を単位(3ヶ月~5年程度)とするのが基本スタイルでしたが、
「i-Bond」では、不動産を入れ替えるので、期限は無期限となっています。
③申込・買取手数料0円(5営業日で現金化)
手数料については、各事業者がそれぞれ定めており、無料から定額、定率など様々なものがあります。
(株)マリオンの従来商品では、申込手数料は出資金に対する2.0%+消費税、買取手数料は3.0%+消費税とされていましたが、i-Bondでは、全ての手数料を無料(0円)としています(銀行振込手数料は出資者の負担)
④1口1万円(販売当初価格)から投資可能
⑤独自開発したi-Bondチャートにより、対象不動産の運用状況を確認可能
不動産の鑑定評価額や入居率、事業収益率等などの運用状況が毎月更新され、いつでもWeb上で見ることができます。
株式会社マリオンは、このi-Bondをお金の「第3の置き場」と表現しています。
RIETとは異なり価格変動が少なく安定的だが、銀行預金より高いリターン(予定分配率は税引前1,5%)を得ることができる、ポートフォリオの分散が図られ、小口資金での投資が可能、流動性を確保する、不動産投資のメリットを生かし、デメリットをカバーした資産運用方法であると言えるでしょう。
もちろん、注意しなくてはいけないリスクもあります。
まず、元本の保証がありません。優先(95%)劣後(5%)構造を採用しており、元本価格の5%までは低下しても優先出資者への影響はありませんが、5%以上価格が低下した場合は、投資した元本が戻ってこない可能性があります。
(株)マリオンの従来商品は30%の劣後出資(営業者による出資)が入っていますが、i-Bondは劣後が薄くなっています。
「株式市場での売買がなく、流動性が低いから心配・・・・・」
という懸念に対して、(株)マリオンは、年1回行う不動産鑑定評価での買取を、24時間365日可能として流動性を確保しています。
申込み手数料、買取手数料は無料(銀行振込手数料は出資者負担)です。
まるで銀行預金のよう実績と基盤がある会社だからこそできることだと驚いてしまいました
とはいえ、不動産価格が大きく下がる局面において、出資者の大部分が買取請求を行った場合に、ファンド自体維持できなくなる可能性がゼロとは言えません。(株)マリオンは、出資者からの買取請求が一時的に多発した場合は、不動産の全部又は一部の売却等が完了するまで、一時的に買取請求を留保する可能性があるとしています。
不動産鑑定評価を行う(=元本価格が変動する)タイミングでは、買取請求手続きが増加すると予想されますね
5月10日より募集を開始した1号物件は、日暮里駅前(東京都荒川区)の新しいレジデンス(共同住宅)。
ソニーグループと初企画するIoT×AIのコンセプトの新築スマートホーム「ALFLAT」
価格は5憶7千万円となっており、素敵なハイグレードなマンションです。
自社ですべて投資してもよいと考えられる優良な不動産を選定し、投資家に対する事務手続き等を考慮してもファンド化する価値があり、(これについてはIT化でかなり軽減されていると考えられますが、システムの開発、維持管理コストなどは回収する必要があります)、なおかつ投資家にとっても魅力がある分配率を決定する、商品設計のプロセスは非常に興味深いと感じています
不動産ファンドの商品設計にあたっては、自社の事業内容、強み、対象の顧客を総合的に考えて、厳しいコンプライアンスを遵守しつつ、事業者ー投資家双方にメリットがある内容を考えることが大切です
お客様のニーズに即したアドバイスを提供し、実現のためのお手伝い(行政に対する許可申請、ドキュメンテーション)するため、カピバラ好き行政書士は更に業務に励んでいきたい思います