週末の東京は、大粒のボタン雪が降り、全国的にとても寒かったですね
この季節は三寒四温といいますが、それにしても温度変化が大きい・・・・気候変動の影響でしょうか
外出は控えるべき時期ですが、気分転換に近所に最近OPENしたホテルのラウンジに出かけたところ、おどろくことに貸切りでした
広々と寛ぐことができてぜいたくですが、少し寂しい・・・・ホテルも気の毒に感じます。
さて、先日の全国空き家再生セミナー2020の参加者から、不動産特定共同事業と不動産ファンドに関してご質問をいただきました
基本的かつ重要な良問でしたのでQ&Aとして、ご紹介させていただきます
みなさまも一緒に考えてみてください
<質問1>
小規模不特事業への登録要件について、宅建資格×1名 ・ビル関連資格を保有する別の担当×1名の都合2名で要件クリアーでしょうか
<カピバラ好き行政書士の回答>
要件を満たしていないものと思われます。
業務管理者の要件を満たす人員を確保できない場合、登録はできません。
(小規模)不動産特定共同事業者は、同一の者で以下の(1)及び(2)の要件を全て満たす従業者を、業務管理者として、各事務所ごとに1人以上設置する必要があります。
(1)宅地建物取引士であること
(2)以下のいずれかを満たすこと
①不特事業に係る3年以上の実務経験
②国土交通大臣が指定した講習の受講
③登録証明事業による証明(ビル経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター・不動産証券化協会認定マスターのいずれか)
本質問に関しては(「ビル関連資格」が何を指しているのか不明ですが)、宅建士資格保持者とビル関連資格保有者が、それぞれ別の人物と記載されているため、各人とも、業務管理者の要件を満たしていないと考えられます。
<質問2>
SPCは、1事業が終了すれば別案件で再利用が可能でしょうか
<カピバラ好き行政書士の回答>
(法令上は可能ですが、SPCの再利用はおすすめできません)
法令上は禁止されていないので可能ですが、不動産証券化の実務でSPCを事業終了後に再利用することは通常ありません(新たな案件毎にSPCを新設します)。
その理由として、不動産証券化においてSPCを用いる目的は、他の事業リスクから遮断して倒産隔離を図ることにあるところ、過去に事業を行ったSPCは損害賠償等に関する隠れ債務等を追っている可能性があり、他の事業リスクからの遮断を図ることが困難であるためです。
以下、参考までに・・・・
理論上、特例事業者は(SPC)は、複数の事業を同時に実施することも法令上は可能です。
しかし、1つのSPCの中に複数のファンドを組成すると、同じ事業主体の中で実施される各ファンドが他のファンドの事業悪化の影響を受け、巻き添えになる可能性が生じます。
例えば、1つのSPCが、A,B,Cの3つのファンド事業を行い、Aファンドが多額の損失を受けて破綻した結果SPCが倒産し、Aファンドとは関係のない順調に運用されていたB,Cファンドも運用ができなくなり、B,Cファンドの投資家までもが投資資金を回収できなくなる
そのため、1SPCに対して1事業(ファンド)とすることが原則であり、1SPCで複数事業を営むことはおすすめできません。
特例事業を行う事業者は、特例事業の制度趣旨である『倒産隔離の確保』を十分に踏まえてスキームを構築するようにしましょう。
(2011年の東日本大震災等を経て、今後、耐震改修・建替えや老朽化した不動産の再生の需要が高まることが予想されるところ、機関投資家等のプロ投資家の事業参画を促すためには倒産隔離の確保が重要であるとされました。
不動産特定共同事業法の平成25年(2013年)改正で導入された特例事業においては、投資家が特例投資家(プロ投資家)に限定され、倒産隔離が図られることから、アセットマネージャーである第3号事業者の資本金要件が第1号事業の1億円から5000万円に緩和されています。)
<質問4>
長期案件で口座に利息が発生した場合、出資割合に応じて配分するのですか? それとも当座預金で利息が発生しないようにするのですか
<カピバラ好き行政書士の回答>
利息収入はファンドの収益(利益)を構成します。
なお、不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約に係る財産を、自己の固有財産及び他の不動産特定共同事業契約に係る財産と分別して管理する必要があります。
分別管理の方法は、銀行への預金等又は信託会社への金銭信託(いずれも当該金銭であることがその名義により明らかなもの)によるものとされています(規則第49条)。そして、分別管理された金銭の余裕資金の運用方法は、国債等による運用又は銀行への預金等に限定されており(規則第11条2項14号)、積極的な運用はできません。
不動産特定共同事業における出資金は、事業を行うことを目的に募集するものであり、多額の余裕資金は通常は想定されませんが、
専用の分別管理口座(○○ファンド匿名組合口など)で管理した上で、国債等の有価証券で運用することはできるということですね
なお、不動産特定共同事業者は投資家から不動産特定共同事業契約締結前に、その金銭の預託を受けることが可能です。
投資家がファンドごとに入金(振込)を行うのではなく、事前に事業者の預り口座に入金しておき、その預かり口座からファンドに入金するタイプがイメージされます。
ただし、出資法第2条違反(預り金の禁止)に該当するおそれがないよう、当該管理行為を行うための適切な業務管理体制の構築が求められます
なお、電子取引業務(クラウドファンディング)を行う2号事業者や4号事業者について金銭の預託を受ける場合は、第2号事業者と比較してその分別管理方法は厳しく、預かった金銭は信託会社や信託銀行等に信託しなければなりません(規則第49条2項)。
(分別管理の方法)
2 不動産特定共同事業者(第二号事業(法第二条第四項第二号に掲げる行為に係る事業をいう。)又は第四号事業を行う者に限る。)が、電子取引業務を行う場合において、当該電子取引業務に関して事業参加者から金銭の預託を受けるときは、次に掲げるところにより、当該預託を受けた金銭と自己の固有財産とを分別して管理するものとする。
一 第五十六条に定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成すること。
二 当該金銭を第十一条第二項第十四号ロに掲げる方法(当該金銭であることがその名義により明らかなものであって、当該不動産特定共同事業者が当該金銭について次号に掲げる金銭信託をする基準日として週に一日以上設ける日の翌日から起算して三営業日以内に当該金銭信託をする場合に限る。)により管理すること。
三 当該金銭を信託会社又は信託業務を営む金融機関への金銭信託(当該金銭であることがその名義により明らかなものであって、当該不動産特定共同事業者を委託者とし、当該不動産特定共同事業者の行う電子取引業務に係る事業参加者を元本の受益者とするもののうち、金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第百四十一条第一項第四号イからハまでに掲げる方法により運用されるもの又は元本補塡の契約のあるものに限る。)により管理すること。
また、第2種金融商品取引業者である第4号事業者については、当該金銭の預託が特定有価証券等管理行為※の範囲を超え、第一種金融商品取引業の登録が必要な有価証券等管理業務に該当することがないように留意する必要があります。
※ 特定有価証券等管理行為・・・・・金融商品取引業者が(資本金等5,000万円以上の第二種金融商品取引業を行う法人に限る)が、特定有価証券等管理行為を行う旨の登録申請を行った場合、信託受益権・集団投資スキーム持分に係る募集・私募の取扱いに関して顧客から金銭の預託を受け、当該金銭について分別管理をしているものについては、特定有価証券等管理行為として金融商品取引業から除外されます(金商法第2条第8項柱書、府令第16条第1項第14号)。
ひとつ1つ掘り下げると実にいろいろな論点があります
コンプライアンス違反とならないようルールをよく理解して事業をすすめましょう