11月2日(金)、外国人材の受入れを拡大するための新たな在留資格を創設する改正・入管難民法が閣議決定されました。
人手不足が深刻化するなか、経済社会基盤を支えるために専門性・技能を持つ外国人材を受け入れが検討されてきました。
カピバラ行政書士が深くかかわる宿泊業界においても、今年6月施行の改正旅館業法ではICT機器の導入等によるフロント代替措置が認められるなど、業務の効率化・省力化と共並行して人材確保が重要な課題になっています。
閣議決定を受け、フジテレビでは11月4日(日)の「報道プライムサンデー」にて特集を組み、岸田文雄自民党政調会長とジャーナリストの有本香氏をスタジオに招き、活発な議論を行いました。私も新しい法制度の解説としてVTR出演しました。
新しい在留資格として創設される『特定技能』
少子高齢化による影響で人手不足が叫ばれる昨今。特に人材確保が困難な状況の産業分野において、来年2019年4月より、『特定技能1号』と『特定技能2号』という在留資格を設けられ、外国人材を受け入れます。
『特定技能1号』は、相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人とされています。
『特定技能2号』は、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人とされています。
特定技能1号より、2号の方がより難しい資格と位置付けられ、来春、始めにスタートしていくのは、特定技能1号からです。
『特定技能1号』とは
『特定技能1号』で求められる技能の水準は『即戦力として活動するために必要な知識又は経験』であり、具体的には所轄官庁が実施する試験によって確認されます。
また、ある程度の日常会話ができ,生活に支障がない程度の日本語能力があることも前提とされています。なお、技能実習2号を修了した者はすでに日本において3年ほどの滞在経験があることから、上記試験等が免除されます。『特定技能1号』では、家族の帯同は基本的に認められず、滞在期間は通算5年が上限です。したがって、移民政策ではなく、あくまで労働人材の確保であると政府は考えています。
受入れ対象分野は宿泊業などを含む14業種が検討
受け入れの対象として検討されている産業分野は次の14業種です。今後の国会で、さらに詳細が議論されることになるでしょう。
▽介護業
▽ビルクリーニング業
▽素形材産業
▽産業機械製造業
▽電気・電子情報関連産業
▽建設業
▽造船・舶用工業
▽自動車整備業
▽航空業
▽宿泊業
▽農業
▽漁業
▽飲食料品製造業
▽外食業
今まで就労目的の在留資格は、「技術・人文知識・国際業務」大学教授など「高度な人材」に限られており、労働力の担い手としては他に留学生の資格外活動や技能実習生によって担われていた側面がありますが、来年4月からは単純労働者を含む分野で新しいカタチで受け入れを拡大されます
『特定技能2号』とは
『特定技能2号』は同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人とされています。『特定技能1号」の在留資格を持つ外国人が、所管省庁のより難易度の高い技能試験に合格することにより
移行が可能となることが予定されています。
特定技能2号の対象として検討されているのは、特定技能1号の産業分野よりも狭く、
建設業・造船・舶用工業・自動車整備業・航空業・宿泊業の5業種です。
入国管理「局」が「庁」に昇格
外国人材の受け入れ拡大にあわせて、今後ますます重要な役割を担っていく法務省入国管理局。
政府は外国人の出入国などの管理を厳格化するため、入国管理局に代わる「出入国在留管理庁」を設置するとしています。
また、より大勢の外国人が日本で生活するようになるための支援も行います。外国人を受け入れる企業など受入れ機関には、日本語教育を含めた生活支援や、日本人と同等以上の賃金水準の確保を義務づけるとしています。しかし、個人事業主などにはそのような包括的な生活支援など実施することが難しいケースもありますので、その場合に民間の登録支援機関などに委託可能にできるようにする制度も検討されています。
宿泊業界では、いわゆるインバウンドと呼ばれる外国人の旅行者が増えていることから、ホテルで働くスタッフとして外国語・英語どちらも使いこなせる人材が入ってくれることは歓迎すべきことと言えるでしょう検討すべき課題も様々ありますが、熱意と意欲のある外国人の就労者が宿泊事業の担い手となり、日本のさらなる観光立国推進に繋がることを期待しています。